大切に扱っているつもりでも、うっかり万年筆を落としてしまった!ということはあるでしょう。落下による衝撃で万年筆に問題が起こっていないか、とても心配になります。キャップを付けていても、万年筆のボディ全体への影響で不具合が出ることもあります。ペン先から落としてしまった場合、調整や修理が必要となる可能性が高くなります。ここでは万年筆の落下でどのようなことが起こるかを見ていきましょう。
<目次>
万年筆をキャップを付けたまま落下させてしまった!
まずはキャップ内の汚れを確認
キャップをしていたから大丈夫、と考えがちですが、万年筆デリケートなのはペン先だけではありません。内部に液状インクを貯めている万年筆には、インクもれという危険があります。見た目は問題がないようであっても、軸に微細なヒビが入っている可能性もあります。特に樹脂製のものは、割れやすいので素材を確認してください。また、ネジ式でペン先を支えるつくりのキャップの場合、衝撃が多少緩和されます。
落下した場所がたたみやカーペットの上なのか、コンクリートなど硬質の床なのかでも状況は変わってきます。キャップの内部を調べて、インクがもれていないか確認しましょう。
インクもれがなければ様子見・もれていたら状況確認を
インクもれがなく、筆記中にインク途切れなどの不具合がなければ大丈夫です。インクがもれてしまっていた場合には、次のような手順で状態を確認します。
- キャップおよび万年筆を水洗いする
- 万年筆をペン先・胴軸に分解し、ひと晩水につける
- 十分に洗浄し、完全に乾燥させる
- インクを補充したらキャップをして3日ほど放置する
- キャップを外し新たな汚れがないかを確認
- 筆記を行ないインク途切れ、かすれがないかを確認
書いていて、かすれが生じたり、インクが手に付くようであれば、どこかが破損している可能性があります。また、少し置くと書き始めが乾燥してインクが出ない場合には、キャップの破損や、本体にゆがみが生じて気密性が失われていることも考えられます。専門店で点検・修理をする必要があります。
万年筆をペン先から落下させてしまった!
素人判断は禁物 すぐに専門店へ!
ペン先は万年筆の命ともいうべき部分です。書き味や筆致はすべてこの箇所で決まってしまいます。見た目がぐにゃりと曲がっている場合、素人が元に戻すのは至難の業。非常にデリケートな構造となっているため、金部分を曲げてもおそらく以前の書き味には戻りません。また、一見それほどではないダメージに見えても、ペン芯との間に微妙なずれが生じ、インクがスムーズに回らない可能性があります。ペン先に付けられているペンポイントが無事であれば、ペンクリニックなどの専門家ならば何とかなると言われています。自分でいじらずにプロにお任せすることをおすすめします。
最悪の場合にはニブ交換
万年筆はボールペンなどよりも多くのパーツで作られています。そのため、各部品を交換すれば半永久的に使うことが可能です。もっとも問題となりやすいペン先ですが、金部分の先には耐摩耗合金がついています。衝撃によってこのペンポイントが破損してしまうと、万年筆として機能しません。また、調整が困難なほど切り割り部分にダメージがあるなど、どうしても現状では修復できない状態もあるでしょう。その場合には、ニブとも呼ばれるペン先全体を交換することになります。14金・18金・21金のペン先は、それだけでも価格が高いため、万単位の修復費用になることは必須です。海外製品の場合、さらに取り寄せに費用がかかり、修理完了までの日数も長くなります。
万年筆を落下させた場合、修理してもらえる?
直接受け付けているメーカーはあまりない
国産メーカーの場合にはサイト受付、ペンクリニックといった修理専用窓口を設けている場合もありますが、通常は近くの万年筆販売店に持ち込むことになります。その際、おおよその金額を聞きたいところですが、答えてもらえることはまずありません。万年筆は、状況によって調整だけで済む場合と部品交換が必要になる場合があります。メーカーの専門部署でなければ不具合の見当がつけられないため、販売店では教えてくれません。事前に修理代を知りたい場合には、見積もりを伝えてもらうと良いでしょう。見積もり金額によって、そのまま返却か修理するかを決める事ができます。海外メーカーによっては見積もり自体にお金がかかる場合もありますので、確認しておきましょう。
部品交換ならばほぼ修理可能 期間は1ヶ月以上を見る
万年筆は元々その名の通り、各パーツを取り換えることで一生涯でも使うことができる筆記具です。中には世代にわたって受け継がれるものもあります。完全に本体軸がつぶされでもしない限りは、修理によって復活できる見込みは残ります。ただ、パーツごとの部品金額は変わり、もっとも機能の高いペン先は、部品代だけで数万円もする場合があります。期間として見積もりに2週間、修理に2週間で、ひと月はかかると思っておいた方が良さそうです。海外製品の場合には部品取り寄せ、および作業の進行も国産よりのんびりしています。部品交換の必要がない程度であれば、ペンクリニックに持ち込んでその場で直してもらえることもあります。
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