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以前はボールペンといえば、 油性インクのみ。ベタっとした固まりが付くことも良くありました。今はボールペンの種類も増え、スムーズな書き心地の水性インクやゲルインクもすっかりおなじみになりました。使うシチュエーションに合わせて、選択肢も広がっています。ボールペンのインクの違いとはどのようなものなのでしょうか。ボールペンのインクが付いてしまった時の落とす方法は?ここでは身近なボールペンの疑問について詳しく見ていきます。

ボールペンの油性インクの「油性」って?

初期のボールペンといえば油性インク


初めてボールペンが作られたときから、使われているのが油性インク。そのため普通にボールペンといえば、ほぼ油性インクのボールペンを指すことが多いですよね。では油性インクとはどういうものなのでしょうか。インクは、色素・溶剤・定着剤が主な原料となっています。染料で色を付け、それを定着するためには樹脂製の定着剤が使われます。それらの原料を溶かすために、油性の溶剤を使っているのが油性インクです。油性・水性の区別はこの溶剤の性質によって変わるということなのですね。

油性インクのメリットとデメリット

油性インクのメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

メリット デメリット
・耐水性がある
・裏抜け(紙写り)しない
・重ねても色移りしにくい
・長期保存が可能
・書き味が重い
・細い線に不向き
・発色が悪い
・色数が少ない
・粘度が高く固まりやすい

油性インクの最大のメリットは、耐水性です。少々の水濡れでも文字がにじんだり、消えてしまうことはありません。最近の改良型インクは退色がおこりにくく、保管に適しています。そのため、公文書でも油性ボールペンを指定されることが多くなっています。
一方で、粘着質の油性インクはどうしても書き味が重くなり、人によっては疲れやすいと感じる場合もあります。彩度が低いため、さまざまな色を作り出すのには不向きです。

ボールペンのインク、「油性」と「ゲル」はどう違う?

油性と水性のいいとこ取りしたゲルインク

ボールペンの歴史の中で、もっとも新しいのがゲルインク。そのため、油性と水性2つのインクのメリットを併せもったインクとなっています。分類でいえばゲルインクは水性に入りますが、水性インクと比較すると耐水性にすぐれています。また、書いた直後に手でふれても、色移りすることはありません。書き味は油性よりも重さがなく、滑らかです。
ゲルインクの秘密は、その瞬時の形状の変化にあります。インクタンク内ではゲル状であったものが、ペン先のボール回転時には粘度の低い液状に、紙に触れると再びゲル状に戻ります。なめらかな書き味とともに、色数の豊富さを実現し、裏映りをなくしたのがゲルインクです。

油性インクとゲルインクの特性比較


油性インクとゲルインクの特性を比較すると、次のようになります。

油性ボールペン ゲルインクボールペン
インク種類 油性 水性
素材 染料・油性溶剤・定着剤 顔料・水・添加剤
粘性
書き味 重い なめらか
にじみ なし なし
耐水性 良好 良好
ペン先のインクたまり あり なし

ゲルインクボールペンは、従来インクの欠点を改良した商品といえます。難点としては、インクの減りが速く、他のボールペンよりも割高になってしまうことです。また、カーボンコピーなど筆圧を必要とする場合には、油性インクボールペンの方が転写に向いています。

油性インクが手や服についたら、あきらめるしかない?

手についたインクは油性で落とす

目には目を、ではありませんが、油性インクは油性の物質を使い、色素を溶かし出すことで落とせます。石けんでこすってもなかなか落ちないボールペンですが、身近にあるものが意外と役立ちます。

○ボールペンを落とすために使えるもの

  • リップクリーム
  • ハンドクリーム
  • クレンジングクリーム

ハンドクリームは、ジェルクリームのようなものではなく、ニベアやヴァセリンのようなややもったりした感じの製品が良いようです。同様にクレンジングもオイル系が良く落ちます。手荒れを起こすこともないので、安心ですね。

衣類のボールペン汚れはプロもてこずる

布地についた油性ボールペンの跡は、程度や時間経過によっても落ち方が違うようです。ぼったりとシミついた油性ボールペンの場合には、クリーニング店でも落ちない場合があります。自宅で試すのであれば、エタノール、除光液が比較的手に入りやすい溶剤です。ただ、生地によっては色が抜けたり、生地自体を傷めたりする場合がありますので、先に見えないところで試しておくと良いでしょう。
落とし方の手順は次の通りです。

    1. いらないタオルを2枚準備する
    2. タオルを下に敷く
    3. 汚れを落としたい服を重ねる
    4. エタノール、除光液を浸したタオルで上からたたく

根気よくたたいて、シミを下のタオルに写し込んでいく要領で落とします。また、クレンジングオイルによっては、同様の効果があるようです。
元来、油性インクは耐水性がありとても落ちにくいため、繊維にからむと除去が難しくなります。生地を傷めてしまう可能性もあるため、少し試して無理であれば、早めにプロに任せた方が良いでしょう。

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