ニオイに敏感な現代人。玄関や部屋に、脱臭剤や消臭剤使っているという家庭がほとんどでしょう。そもそもニオイとはどういったものなのでしょうか。脱臭剤と消臭剤の使い分け法は?ここではニオイの原因となる物質について確認し、効果的な脱臭剤・消臭剤の利用法について見ていきましょう。
<目次>
ニオイの原因となる物質は何?
ニオイの元となる物質とは
生活の中で感じる悪臭には、さまざまな原因があります。家の中では、人間の体臭や、ペットのニオイ、生ごみ、トイレ、排水口、カビ、ホコリなどが主なニオイの発生源。そこから発生する物質にも多くの種類がありますが、主な物質とニオイの特徴を見ておきましょう。
○悪臭の原因となる物質の例
名称 | ニオイの特徴 |
アンモニア | 強い刺激臭 |
デカジエナール | 揚げた油 |
ヘキサノン | 土臭い |
メチルメルカプタン | 糞尿集 |
メタンチオール | 腐敗臭 |
ヘキサン酸 | 動物臭 汗臭い |
ノネナール | 皮脂臭 |
ヘプタナール | 油集 |
メチルイソチオシアネート | ニンニク臭 |
ヘキサン酸エチル | 汗臭い |
なかには物質そのものは芳しい香りであるのに、他の物質と混じりあうことで、悪臭化している場合もあります。悪臭とされるものは、ほとんどが複数の物質によって構成されています。
ニオイの原因物質は複合的
日常の中にある悪臭にもっとも多く含まれているのは、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミンなど。これらは、トイレに代表されるおなじみの悪臭を構成する物質です。メチルメルカプタン、トリメチルアミンは、悪臭の部類に入れるか迷うような、焼肉のニオイなどにも含まれています。ヒトや動物の体臭は、主にアンモニアや酢酸などによるものです。
○主な生活臭に含まれる物質
ニオイ | 含まれる物質 |
タバコ臭 | アンモニア、硫化水素、酢酸、アセトアルデヒド、ビリジン |
トイレ臭 | アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミン、酢酸 |
生ごみ臭 | アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミン、 |
体臭 | アンモニア、酢酸 |
焼肉 | メチルメルカプタン、トリメチルアミン、アセトアルデヒド |
ペットトイレ | アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミン、酢酸 |
ペット体臭 | アンモニア、酢酸 |
脱臭剤とはどのようなもの?
脱臭剤は物理的にニオイを消す
脱臭剤は、空気中の「ニオイガス」を吸着、つまり吸い取る方法です。物理的に、ニオイの元となる物質を集めて、封じ込めます。個体表面にくっつけてしまう方法と、ニオイの分子を包み込んで消す方法があります。
よく知られたものに、活性炭があります。活性炭表面には非常に細かい孔が密に開いています。活性炭1gあたりの表面積は2,000㎡。これはバスケットボールコート5面分といわれており、相当な吸着力ですよね。しかし、孔が次第にニオイの元で埋まってしまうと、効果はなくなります。日本古来の脱臭剤としては備長炭が使われますが、見た目が変わらなくても効果は消えてしまうので、定期的に交換する必要があります。
ニオイのこもる場所には脱臭剤
脱臭剤は、ニオイのこもる密閉された場所の利用に適しています。空気の流れが多い場所、ひんぱんに開閉される場所には向きません。冷蔵庫に使われる活性炭はニオイを吸着していくと、どんどん小さくなっていきます。日付を書いて、きちんと管理をしましょう。
置き場所は、ドア付近ではなく冷蔵庫の奥へ。ニオイは下へと流れる傾向があるので、下段が適当です。また、炭の場合は風が当たると水分が飛んで効果が薄れます。庫内ファンの近くを、避けて置くようにしてください。現在市販されている脱臭剤には、活性炭の他にゼオライトやセラミックスなどが使われているものもあります。
消臭剤とはどのようなもの?
消臭剤は化学的にニオイを消す
消臭剤は特定されたニオイを、薬品により化学分解して消臭する方法です。玄関用、リビング用、寝室用、トイレ用などと、用途や置き場所にあった薬剤が使われます。このため、リビング用をキッチンに置いても、効果はありません。
ニオイの元をなくすためには、中和という化学変化を利用します。例えば、多くのニオイの元となっているアンモニアはアルカリ性。そこで、酸を使って中和すれば、アンモニア臭を消すことができます。同様に他の物質に対しても、それぞれにニオイを中和する薬剤を利用しているのです。
スプレー式の消臭剤は殺菌入りに注意
最近は、消臭に対する意識が高まり、スプレー式の消臭剤が数多く販売されています。衣服についたホコリやタバコのニオイを消したり、カーテンに付いた食べ物のニオイを消したりと、とても便利。とはいえ、消臭剤はニオイの元となる汚れまで失くしてしまうわけではないので、できるだけ早いうちに洗濯をしたほうが良いのは当然です。
また、消臭と共に殺菌効果を持つスプレーもあります。こちらについては、吸い込みやペットの食器などへの噴霧には気をつけなければなりません。消臭剤以上に健康に影響がある成分が含まれる可能性もあるため、利用する際は窓をあけるなど扱いに気をつけましょう。
脱臭剤と消臭剤の特徴を比べてみよう
○脱臭剤と消臭剤の比較
種類 | 仕組み | 利用場所 | 成分 | 備考 |
脱臭剤 | 物理的にニオイを吸着・封じ込める | 密閉されている場所 | 備長炭 活性炭 ゼオライト セラミックス |
1つの種類で比較的多くのニオイを取り除く |
消臭剤 | 化学的に中和させる | 用途別・場所別 | 二酸化チタン 二酸化マンガン 酸化亜鉛 茶葉 キノコ 金属キレート化合物 シクロデキストリン |
2種類以上の組み合わせによることが多い ニオイの再放出が少ない |
消臭剤の成分は日々開発が進み、天然由来などのより安全性の高いものが利用されるようになってきています。脱臭剤は、消臭剤に比べると使われる成分のバラエティが少なく、利用の場も限られています。
消臭剤のデメリットは、そのニオイに対応できる薬剤でないと効果が期待できないこと。どこの場所で、何に対して使うものなのか、よく選んで購入してくださいね。
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