誰しも一度は、学校などで利用したことがある画材といえばポスターカラーでしょう。でも、ポスターカラーと絵の具のどこが違うのか、わりと知られていません。ポスターカラーとはどのような特徴があり、他の絵の具との違いは何なのでしょうか。ここでは、ポスターカラーが使用される理由や、価格について見ていきましょう。
<目次>
その1:ポスターカラーの特徴を知る
なぜ文化祭では絵の具じゃなくてポスターカラーなの?
ポスターカラーといってすぐに思い浮かべるのは、数々の学校行事です。もぞう紙などに色を塗る際には、決まってポスターカラーが使われていました。なぜ普通の水彩やアクリル絵の具ではなかったのでしょうか。ポスターカラーの特徴は、高彩度、つまり非常に鮮やかな発色にあります。遠くから見てもくっきりと見えたのは、ポスターカラーのもつ発色の良さにあったのですね。また、ポスターカラーは不透明な水溶性画材です。水で伸ばすことは可能ですが、透明化せずに、下の色を塗りつぶすことが可能です。少々の失敗でも上から色を重ねれば、隠すことができます。
安価で広い面を塗ることが可能
不透明で均一に塗れるので、広い面を塗りつぶすのに適しています。水で薄めても、発色の良さは変わりません。比較的安価な顔料と固着剤を用いているので、経済的です。そのため、学校や、アニメーション業界など大量に顔料が必要なシーンで使われています。ただ、ポスターカラーと名がついていますが、対水性がないので雨などで水濡れすると色が落ちてきます。
○ポスターカラーの特徴
- 不透明で塗り重ねができる
- 水溶性なので薄めることができる
- アクリルガナッシュなどと比較して安価
- 耐水性はない
その2:ポスターカラーと絵の具の違いを知る
ポスターカラーは水性でもムラができにくい
一般的な絵の具とポスターカラーの大きな違いは、塗った際にできる色ムラです。水溶性で水で伸ばすことができるポスターカラーですが、均一に塗ることが可能なので、ラインなどくっきりとした用途に最適です。一方で、微妙なトーンやグラデーションを作るのが苦手なため、美術的な絵画には使いづらいというと特徴があります。アニメやポスターのように、明確な色づかいとインパクトを必要とする用途に向いています。他の絵の具と比較し、顔料の粒子が粗い化学染料を使うことで、高い被膜力を実現しています。
ポスターカラーと絵の具の特徴の違いは?
ポスターカラーも、水溶性の絵の具の仲間といえます。絵の具にも種類によってそれぞれの特徴があります。
○ポスターカラーとその他の絵の具の特徴
名称 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ポスターカラー | ・広い面に塗りやすい ・ビビットなイメージ ・水に溶ける ・比較的安価 |
・微妙な色彩変化が出ない ・耐水性がない ・平たんな印象 |
透明水彩 | ・明るく微妙な色彩を表現可能 ・紙素材を生かせる |
・インパクトを出しづらい ・色重ねのテクニックが必要 ・比較的高価 |
マット水彩 | ・水分量により透明・不透明のどちらの味も出せる ・比較的安価 |
・色が濃くなり暗くなりがち |
アクリルカラー | ・接着力が高く乾くと耐水性をもつ ・透明調で乾くと艶が出る ・油絵の具のような味わいが出せる |
・比較的高価 ・乾きやすく扱いが難しい ・テクニックが必要 |
アクリルガッシュ | ・不透明で均一に塗れる ・乾くと耐水性をもつ |
・平たんな印象 ・比較的高価 |
その3:ポスターカラーの値段を知る
懐かしいボトルタイプはたっぷり使える?
おなじみのボトルタイプは、絵の具メーカー以外でも塗料メーカーなどから販売されています。チューブよりも扱いが面倒ですが、たっぷり使えて割安です。大きなモノを作成する際、大型の筆やハケで一気に塗るのに便利ですね。価格は45mボトル1個が300~350円、30mボトルで170~200円です。メーカーや、金銀色などによる価格の違いはあまり見られません。さらに大容量の720mが2,000円前後、600mが1,700円前後となっています。ボトルも24色セットなどでも販売されており、価格は7,000~8,000円で購入できます。
チューブはやや割高……でも、色数が豊富!
チューブは絵の具メーカー、文具メーカー、画材店オリジナルなどがあります。ボトル入りと比較すると、やや割高となっており、色数が多い商品は絵の具と同様に11m入りチューブがほとんどです。価格は、12~13色入りで1,200円前後、18色入りで1,500円前後が多いようです。1本あたり120円程度で、チューブのばら売りを行なっているショップもあります。海外の有名画材メーカーでもポスターカラー市場に参入しており、より発色や色ニュアンスが多彩です。アニメやアート的な作品づくりに、通常の絵の具では出せないポスターカラーならではの特徴が生かされるのでしょう。ブランドによっては、ポスターカラーとしてはやや高額の商品もあるようです。
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