日頃さまざまな機器類で使用する電池には、たくさんの種類があります。同じような名前をもっていても、機能や能力に大きな差があります。電池を効率よく安全に使用するためには、電池についての正しい知識が必要です。ここでは、リチウム電池とリチウムイオン電池についてそれらの違いや特徴について見ていきましょう。
<目次>
電池の種類にはいくつかある
一次電池・二次電池とは?
電池の種類を見る場合、大きくは使い切りの一次電池と、充電可能な二次電池に分けられます。スーパーやコンビニ、最近では100円ショップでも見かけるマンガン電池・アルカリ電池・ボタン電池などは、容量がなくなれば使えなくなる一次電池です。それに対して、鉛蓄電池、リチウムイオン、リチウムイオンポリマー、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池などは、くり返し充電して使える「蓄電池」、「充電式電池」と呼ばれています。充電型の二次電池は一次電池と比較して、電圧が高く、大電流を必要とする機器に利用されています。
使い切り電池と充電池の違いって?
電池は金属が化学変化によってイオン化し、生じる電子がマイナス極からプラス極へ移動することで、電流を作り出します。電子を失ったり受け取ったりする動きによって、金属が電荷をおびることをイオン化と呼び、電池は各金属のイオンになりやすさの差異を利用しています。使い切りの電池は、電流が常にマイナス極からプラス極へと流れ、マイナス極側の金属が電子を放出できなくなる時に、電池の寿命となります。二次電池は外部からエネルギーを与えることで強制的に、電流を逆流させます。これにより、マイナス極側の金属が復活し、くり返し電流を作り出すことができるのです。
リチウム電池ってどんな特徴がある?
リチウム電池は乾電池界では超上級の実力
リチウム電池は、マイナス極に金属リチウムを使った一次電池です。もっとも普及しているコイン型リチウム一次電池は、カメラなどの大電流を必要とする機器に使用されています。リチウムは金属では最大のイオン化傾向を持ちます。そのため、マイナス極側として利用することで、プラス極との高い電位差が生じます。それによって出力電圧も大きくなります。リチウムは最も軽い金属としても知られています。重量に対しての電力容量が大きいため、軽量化が望まれる各種機器に利用されています。一般的な電池と比較し、自己放電が少なく寿命が長いため、家庭内ではリモコン、時計、電子メータなどの小型電子機器やLEDキーホルダー、また電池取り換えが困難な電気浮きなどにも利用されています。
利用環境にも広く対応できる汎用性の高さ
3.0Vと一般の乾電池の2倍の電圧も可能なため、航空宇宙分野など産業、軍用などとしても使われています。乾電池として小売りされている商品は、単3形、単4形で一般的な乾電池と同じ1.5Vですが、初期電圧が1.7Vと高いため豆電球式の懐中電灯には利用できません。アルカリ・マンガン電池よりも軽量で、-40℃から85℃までの低温・高温環境でも使用可能。非常に性能が高く、劣化しづらいのでさまざまな分野の小型機器に利用されています。
リチウムイオン電池ってどんな特徴がある?
二次電池界のスーパースター
リチウムイオン電池は、充電式の二次電池の中でも非常にすぐれた性能をもつ電池です。放電電圧は約3.7Vと高く、さらに500回以上の充放電が可能な耐久性に富みます。これは、マイナス極としてのリチウムが溶解し、充電で析出する際も反応がスムーズに行われる両極の組み合わせであるため。これまでの二次電池の主流であったニカド電池やニッケル水素電池と比べ、リチウムの重量が軽いため、高い電圧を必要としながら軽量化が望まれるモバイル機器には、非常に適合しています。ニッケル水素電池としても実質電気容量が減衰するメモリー効果が無く、また、自己放電による容量低下がほとんどみられないなどの特徴もあります。
ネックとなる高額な原材料と安全対策
パワーが強く、機器の小型・軽量化に貢献するリチウムイオン電池。しかし、問題となっているのは、レアメタルやカーボンナノチューブなど希少価値の高い素材コストです。リチウムイオン電池には、容量以上に充電・放電をすることにより、発熱・発火さらに爆発といった危険性があります。安全回路が必ず必要となるため、電池単体では売られることはありません。機器に適した、管理構造をセットとして内蔵されます。こうした背景から、今後もハイスペックな性能を望まれる精密小型機器が、リチウムイオン電池の主な利用対象となってゆくと考えられます。
リチウム電池とリチウムイオン電池の比較
利用の用途が分かれるリチウム電池・リチウムイオン電池
二次電池であるリチウムイオン電池は、携帯電話やパソコンの内蔵物としてセットされています。安全回路や電圧・電流の管理などの安全対策から、単体で小売されることはありません。そのため、消費者がお店でリチウム電池とリチウムイオン電池を買い間違えるなどということは、あり得ないことです。リチウム電池は、単3形、単4形が通常の電気店などでも売られています。アルカリ乾電池の5℃~45℃という使用温度に比べ、-40℃~60℃まで温度幅があり、特に低温特性が優れているため、寒冷地での機器利用にも適しています。デジタルカメラやストロボなどの、大電流機器にも対応し、長時間使えるというメリットがあります。電動歯ブラシ、シェーバー、ワイヤレスマウスなどごく日常的な機器にも、使う事ができます。
大電圧のリチウムイオン電池 比較デメリットは?
間違えやすい名称ながら、使用目的が異なるリチウム電池とリチウムイオン電池ですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
○リチウム電池・リチウムイオン電池の比較
名称 | 販売形状 | 電圧 | 使用用途・特徴など |
---|---|---|---|
リチウム電池 | 単体販売 乾電池型あり |
乾電池型1.5V 産業用3V |
デジタルカメラ ストロボ 電動歯ブラシ シェーバー 携帯ラジオ |
リチウムイオン電池 | 単体販売なし 安全回路ユニット装着 |
3.7V | パソコン 携帯電話 タブレット デジタルカメラ ドローン 医療用機器 電動工具 蓄電システム ※希少性の高い素材を使うため生産コストが高額 ※過充放電による発熱・発火を回避するため安全回路必須 |
リチウムイオン電池の最大のデメリットは、コスト面です。また、熱暴走などの危険性への配慮から、自動車にはほとんど使われていません。
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