金庫の購入が必要になった際に、まずどのような種類を選択すれば良いのか調べる必要があります。ドラマや映画では良く目にする金庫ですが、実は用途別に多くの種類が存在します。また、昔はダイヤルや鍵しかなかった施錠タイプも、最新型のロック方式が次々に開発されています。企業活動のセキュリティの要ともいえる金庫について、詳細をみていきましょう。
<目次>
金庫の種類はこの2つ!用途に合わせた金庫選びを
金庫の種類は「耐火」と「防盗」どちらを重視するか
金庫の種類はまず大きくわけて、
- 耐火
- 防盗
の2種類があります。それぞれ火災対策用、盗難対策用となりますが、金額的には防盗金庫の方が高額です。その理由は、材質と金庫のしくみにあります。
耐火金庫は主に、内部に水分を含ませた「気泡コンクリート」でできています。火災にあっても内部の温度を一定に保ち、収納物を守ります。時間の経過とともに内側の水分が失われるため、性能が保たれるのは20年と言われます。
一方の防盗金庫は、収納物を盗難から守るための堅固なつくりと共に、何よりも複雑な仕組みが重要になります。日々進化する犯罪知識に対抗するために、セキュリティのシステムも進化し続けています。開錠に手間取るだけではなく、警報装置としての役割を備えています。金庫そのものを持ち出すことを困難とする、固定の工夫も凝らされています。
種類 | 材質 | 特徴 |
---|---|---|
耐火金庫 | 金属 気泡コンクリート |
|
防盗金庫 | 金属 硬質コンクリート |
|
多様化する「財産」に合わせた金庫の種類選び
金庫と言えば、現金、株・各種証券、宝石などが思い浮かびますが、現在では財産のカタチも多様化しています。そのため、金庫の種類も用途に合って進化をしています。収納において何を重視するのかで、金庫選びの観点が異なります。
一般紙書類 | ビデオテープ CD・FD 磁気カード |
宝飾類 | 現金 小切手 手形 |
|
---|---|---|---|---|
防盗金庫 | ○ | × | ○ | ○ |
一般紙用耐火耐破壊 | ○ | × | △ | △ |
データメディア用 耐火金庫 |
○ | ○ | △ | × |
一般紙用耐火金庫 | ○ | × | × | × |
金庫の鍵の種類。ダイヤル式などのロック方法を比較
進化する昔ながらのキーロック
金庫ではおなじみのダイヤル式や、シリンダー型も時代とともに進化しています。開閉の頻度や使う人数によってどの施錠方式が適当か、十分に検討が必要です。人数の少ない企業では、テンキー式やもっとも簡単なマグネットキーも人気があります。
施錠方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ダイヤル式 | 金庫では一般的に使われているタイプ 数字を合わせてからキーで開ける |
精密構造で防犯性に優れる | 解除までの操作が多い |
シリンダー式 | キーだけで開錠が可能 | 簡単でわかりやすい | キーの複製の可能性がある |
テンキー式 | 暗証番号を入力 | 暗証番号を自由に設定できる | 電池切れで開かなくなる |
磁気カード式 | 磁気カードを差し込む事で開錠する | かさばらず携帯に便利 | 紛失しやすい 電池が必要 |
マグネット式 | マグネットの特性を生かしオリジナルのみで開錠できる | 複製されにくい 差し込むだけなので簡単 |
盗難に合うと解錠を防ぐ方法がない |
指静脈・指紋を使ったハイテクキー
機密性の高い業種では、セキュリティドアに瞳の光彩や、声紋といった生体認証による解錠方式が多くなってきました。金庫の解錠にも指紋認証の他、最近ではより精度の高い指静脈認証が開発されています。
指静脈認証は近赤外線を指に透過させ、静脈パターンにより個人認証を行ないます。偽造やなりすましされる恐れのある指紋認証の上をゆく、まさに最先端の認証技術です。指紋認証で起こりがちな、読み取りエラーがほとんどないのも特徴です。
また、この技術に合わせ、金庫の中にもレベル差を置くことができるシステムも提供されています。金庫扉の中にさらに現金などを入れる重要品収納庫があり、一般者と登録者を設定することが可能です。さらに、違うグループの2名による認証でしか金庫を開けられないといった、複合的な2指照合システムもオプション依頼ができます。
7つのチェックポイント!法人向け金庫の種類の選び方
まずはここから!選ぶポイントは7項目
金庫を選ぶ際にポイントとなるのは次の7ポイントです。
- 金庫の大きさ
- 収納物の大きさ
- 収納物の種類
- 耐火性能
- 防盗性能
- 金庫の重さ
- キーの種類
金庫を運んできても、設置場所に納まらない、扉や部屋の開閉が困難、という事態にならないように事前の確認が必要です。設置スペースの幅・奥行き・高さはゆとりを持って測ります。また、ドアの開閉や人の行き来などの動線が確保できるかも、留意してください。金庫を搬入する際の経路の幅も、うっかり見落としがちです。
次に金庫の内寸を考えます。金庫の内部スペースの目安は、用紙サイズで確認しておきます。
B5・・・182×257mm
A4・・・210×297mm
B4・・・257×364mm
A3・・・297×420mm
書類をまとめている場合には、ファイルサイズを基準にします。また、金庫は長期に渡り使用します。なるべく余裕スペースが確保できるものの方が、便利です。
金庫の製造メーカーには、収納品による用途別で推奨の金庫があります。主に中に入れるのが現金、宝石か、データメディアかで選択が異なります。
収納物の熱による変質や溶解を防ぐ耐火性能は、規格で表示されています。JIS規格、UL規格表示を確認し、それぞれの製品の詳細性能をチェックしておきましょう。
収納物が現金や換金性の高い物品の場合には、防盗性を重視した金庫が適応します。防盗性能は、日セフにより規格化されています。バーナー等の溶断や、ハンマー、ドリル等による破壊についての耐久性が明確に表示されています。さらに重量や固定による盗難対策、施錠・解錠システム、警報装置などがチェックのポイントです。
高機能、最新式になるほど高価格となります。また、システムが複雑化するに従って重量が大きくなる傾向もあります。
見落としがちなのが、金庫の重さです。防犯面では重いほど有効ですが、設置場所の許容重量があります。経年とともに床が沈んだり、建物がゆがんだりということのないように、建築会社や管理会社に問い合わせておくと安心です。
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