世界の中でも日本ほど水に恵まれた国は珍しいといわれます。ほとんどの国で水道水は、直接飲料に使えないのが実情です。そんな日本でも、ミネラルウォーターを購入することは当たり前の時代となっています。なぜミネラルウォーターがそれほど支持されているのでしょうか。ここではミネラルウォーターの定義や、軟水・硬水などの硬度の違い、目的別おすすめのミネラルウォーターについて紹介していきます。
<目次>
ミネラルウォーターとはどういう水のことを意味するのか
ミネラルウォーターのガイドライン
スーパーやコンビニで並んでいる水を何の疑いもなく、“ミネラルウォーター”と認識してしまいますが、ミネラルウォーターには明確な定義があります。1990年に農林水産省によって「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」が制定され、これによって国産のミネラルウォーターの流通基準が決められています。外国のミネラルウォーターは、滅菌などに関しては日本の規格のように厳密ではありません。コーデックス(食品規格)と呼ばれる国際規格水準をクリアしたものが、食用水として販売されています。
ミネラルウォーター類は大きく3つ
ミネラルウォーター類に分類されているものは、大きく3つあります。
l ナチュラルウォーター
l ミネラルウォーター
l ボトルドウォーター
ナチュラルウォーター類は、自然ろ過、加熱殺菌以外、化学的な処理を行っていない地下水のこと。さらに「ナチュラルウォーター」と「ナチュラルミネラルウォーター」に分類されています。ナチュラルウォーターのなかでも無機塩が含まれているものが、ナチュラルミネラルウォーターと呼ばれます。
ミネラルウォーターは、前述のナチュラルミネラルウォーターを製品として品質安定させるために、殺菌・浄水処理、成分調整などを行なっているものを指します。
ボトルドウォーターには、地下水以外、河川や泉からくみ上げた水や蒸留水も含みます。ボトルドウォーターの基準は、厚生労働省が管轄する水道法により定められ、食品製造用水として認められるものに限り、流通されます。
ミネラルウォーターにはいくつかの種類がある
大きな違いは硬度とPH値
よく日本の水は軟水、ヨーロッパは硬水というのを耳にしますよね。この目安となるのが、硬度と呼ばれる水の成分量です。硬度は、水1,000ml中に含まれているカルシウムとマグネシウムの含有量で計算されます。硬度の計算式は次の通りです。
硬度=カルシウム(mg/L)×2.5+マグネシウム(mg/L)×4.1
WHO(世界保健機関)の基準値では、120mg/L以上の水は硬水、120mg/L未満の水は軟水となっています。
水の味の要素には、もうひとつ、PH(ペーハー)値があります。酸性~アルカリ性のレベルを0~14の段階で表した値のことで、中性は7.0PH。それ以上であればアルカリ性、それ以下ならば酸性の水になります。
硬水・軟水はどう違う?PHって味に関係するの?
日本の軟水は硬度が100mg未満、それに対して海外の硬水は300mg以上の水もあります。硬水を初めて飲んだ人は、かなり飲みにくい水と感じることでしょう。抵抗感のない軟水は、日本料理やだし汁、日本茶など穏やかな味わいのものに合います。硬水は紅茶、西洋料理やパスタをゆでるのにぴったりです。「痩せる水」といわれ、モデルたちに愛用されているコントレックスは超硬水に属します。
PHは中性の値の7が目安になります。例としては牛乳がPH値7です。酸味を感じれば、酸性度が上がります。柑橘系のジュースはもちろん、ワインやコーヒー、ビールも酸性です。酸性雨という言葉があるように、雨水も酸性です。アルカリ性の食物には、きのこや野菜、海草類があります。梅干しは酸味がありますが、アルカリ性食品です。
現代人の食生活は、酸性に傾きがちと言われます。ヒトの体液は弱アルカリ性。アルカリイオン水などが、健康飲料として人気が高いのはそのためです。味的には中性に近いものが美味しく感じられるようです。
ミネラルウォーターは水道水とどう違うのか
意外!ミネラルウォーターと水道水の成分は同じ
ミネラルウォーターというくらいなので、水道水よりもミネラルが豊富なイメージがありますよね。でも実際には、マグネシウム、カルシウム、ナトリウムなどのミネラル分にそれほどの違いはありません。ミネラルウォーターの種類によっては、ややカルシウムが多いという程度です。ミネラルウォーターがおいしく感じるのは、ミネラル成分のバランスの良さや天然ろ過によるまろやかさのため。成分の大きな違いはないということは、化学的な差は見られないとも言えます。
水道水のデメリットは消毒臭の残留
とはいえ、ミネラルウォーターと水道水は、口に含むと違いがわかりますよね。水道水は飲料水基準に従い、浄水場で塩素殺菌を行います。厚生労働省令による「水道法第22法・水道法施行規則第17条3号」では、残留塩素を0.1mg/L以上保持するように定められています。夏になるとよけい塩素臭いと感じるのは、雑菌の繁殖を抑えるため、殺菌剤の投入量が調節されるからです。
日本の水道水はかなりレベルが高く、おいしさもそれなりです。しかし、水道管の経年劣化やマンションの貯水タンクの汚れなどにより、手もとに届いた水に不純物がまったくないとは言えないのが現実でしょう。
水にこだわるなら、このミネラルウォーターがおすすめ
軟水系は日本人の口になじみやすい
日本産のミネラルウォーターの特徴は、まろやかでくせのない味わい。身体の中に「すーっ」となじむような感覚があります。赤ちゃんのミルク、炊飯、日本茶にも合うものが多いようです。
〈軟水のおすすめミネラルウォーター〉
メーカー名 | 採取地 | 硬度 | PH |
日本コカ・コーラ | 北海道、静岡、宮崎など | 27.7 | 6.9 |
サントリー | 販売地区による | 30 | 7.0 |
アサヒ飲料 | 六甲山系 | 32 | 7.2 |
美陽堂. | 熊本 | 49.5 | 7.3 |
慣れるとくせになる?硬水系
ダイエットやお通じの解消にも利用される、硬水系のミネラルウォーター。紅茶にはやはり硬水が好まれるようです。炭酸入りのものは、レモンウォーターにも最適です。
〈硬水のおすすめミネラルウォーター〉
メーカー・品名 | 採取地 | 硬度 | PH |
サンペレグリノ | イタリア | 674 | 7.8 |
コントレックス | フランス | 1468 | 7.45 |
クールマイヨール | イタリア | 1612 | 7.4 |
ペリエ | 南フランス | 417 | 6.0 |
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