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お気に入りの衣服を守るためには、季節の入れ替えごとの防虫剤はかかせませんよね。でも、もしかして、防虫剤って有効な使い方があるのでしょうか。入れ方によって効果が失われていたら、意味がありません。今は防虫剤にもいろいろなタイプがありますが、混ぜて使ってはいけないものも気になります。また、もし子どもが誤飲した場合にはどうしたら良いのでしょうか。そんな防虫剤についての疑問のあれこれや、使い方、注意点などについて調べていきましょう。

どこで使うかによって、防虫剤の効果的な使い方は違う!

ハコものやタンスの防虫にはここに注意

せっかく防虫剤を入れたのに効き目がなかった!ということにならないように、正しい入れ方を確認しておきましょう。

タンスのひきだしや衣装ケースに防虫剤を入れる際の、注意する点には次のようなものが挙げられます。

 開けっ放し、すき間を作らない
 防虫剤を一番上に置く
 衣類を詰め込み過ぎない
 容量を守る

一般的に売られている防虫剤は、揮発性の物質です。密閉されていない空間では、有効成分が効かずに消えてしまいます。タンスの引き出しはきちんと最後までしめ、衣装ケースもロックがあるものを利用しましょう。衣類を詰め込み過ぎると、なかでガスが周り切りません。少し余裕をもって衣類を入れるようにしてください。防虫剤が容器に対して少なすぎると、有効成分が十分に行き渡らないのでパッケージの表示に従った量を使います。量が多すぎる場合、最近市販されている防虫剤の多くは、自然と余分量が抜けるために害とならず、特に心配することはないようです。

ウォークインクローゼットの防虫ってどうするの?

ウォークインクローゼットの場合、通常の防虫剤では成分が効かないままに揮発してしまうため、専用のものを使ってください。専用タイプは、揮発性とは違う性質をもっており、クローゼット全体を防虫します。

ただし、上のほうに吊るしても丈の長いコートなどは、裾部分が心配です。いらないストッキングなどを利用し、丈を調節して吊るすと全体に効果が行き渡ります。また、カシミアのジャケットなどにはポケットにも防虫剤を入れておいたり、防虫効果のあるカバーを利用したりすると安心です。

ウォークインクローゼットでは季節ごとの入れ替えを行なわないことが多いので、防虫剤は1年用を選び、月を決めて交換したほうが忘れません。

防虫剤を使うならココに注意!〜臭い移りや併用の問題〜

併用不可!ケチらず新しいモノを使おう

防虫剤は同じ種類を使い、違う種類のものを足したりするのは避けたほうが安全です。防虫剤のすべてではありませんが、なかには反応し合って有毒ガスを発生させたり、溶解を起こして衣類を傷めたりすることもあります。また、成分によっては、プラスチックのボタンを溶かす、金属製の飾りの色が変色するなど、思いがけないダメージを引き起こす物質もあります。

デリケートな衣類の場合には、防虫剤の成分表記を確認し、使って良いものかを判断してください。

○防虫剤の成分と相性や注意点

成分の名称 特徴・用途 注意点
エムペントリン (ピレスロイド系) 無臭 銅などを含む金属製のボタンや飾りは、変色の恐れあり
パラジクロロベンゼン 揮発しやすく、薬剤効果の拡散が速い

忌避効果・殺虫効果が高い

金糸・銀糸・ラメ製品や人形類、合成皮革は変色や溶解する場合がある

ナフタリン・樟脳との併用不可。

夏場の暑さで溶けて、シミになる可能性がある

ナフタリン 臭いがきつい

比較的に長持ち

和服や人形に使える

パラジクロロベンゼン、樟脳とは併用不可
樟脳(しょうのう) 天然のクスノキから作られていて、穏やかな効き目がある パラジクロロベンゼン、ナフタリンとは併用不可

食品などへの臭いうつりに注意

防虫剤の種類によっては、刺激臭を持つものも少なくありません。以前のニュースで、防虫剤の臭いが即席めんにうつり、自主回収をしたメーカーがありました。家庭内でも、のりやお茶などにおいのうつりやすいものの近くに保管すると、思いがけない被害となります。パッケージに入っていて、直接あたっていなければ、健康への害はありませんが、それでも「薬臭い」食品は気持ちが良いものではありません。

粉類や薬、ペーパー類は臭いを吸着しやすいものがあるので、置き場所に気をつけましょう。

防虫剤を誤飲した場合、どのような対処法をすべき

あっ大変!子どもが防虫剤を誤飲したときの対処法

子どもは目を離すと、とんでもないことをしてしまいます。衣替えの季節にお母さんが忙しくしている横で、何かを口に…日本中毒情報センターによると、防虫剤の誤飲の問い合わせは年に200件ほどあり、春・秋の衣替えの季節に集中しているそうです。

昔からよく、牛乳を飲ませると良いといいますが、これは絶対にしてはいけません。牛乳を飲ませると、薬剤が体内に吸収されやすくなり、かえって危険です。すぐに医師に連れて行くのが基本ですが、その際は防虫剤の成分がわかるものを持って行くのを忘れずに。

薬剤別の対処方法

子どもが口にしたのに気づいたら、慌てずに、まずは薬剤の表記を見て対処をします。

○薬剤別の誤飲対処法

防虫剤成分 対処法
パラジクロルベンゼン 口に入れた程度なら心配いらない。

体重10Kgあたり1g以上なら、水を飲ませて吐かせてから病院につれていく。

それ以下のときには、水を飲ませて様子を見る。

牛乳や脂肪分の多い水分は不可。

ナフタリン 少量でも中毒の危険性がある。

水を飲ませて吐かせてから、すぐに病院へ。

なめた程度であれば、水を飲ませて様子を見る。中毒症状は、吐き気、下痢、腹痛、発熱など。

牛乳や脂肪分の多い水分は不可。

樟脳 少量でも中毒の危険性がある。吐かせるとけいれんを起こしやすくなるので、水を飲ませて速やかに病院へ。

なめた程度であれば、水を飲ませて様子を見る。

中毒症状は、吐き気、おう吐、けいれん、意識障害がなど。

症状がなくても、牛乳や脂肪分の多い水分は1日与えないこと。

衣服に残った防虫剤の臭い、どうすれば取れる?

「おばあちゃんのニオイ」みたいなのを取りたい!

昔の人みたいな臭いは、樟脳、パラジクロロベンゼンなど。独特な臭いそのものが防虫効果となっています。またツンとした臭いは、ナフタリンなど石油由来の炭化水素。繊維が臭いを吸着して、しつこく残ります。

臭いを取る方法としては、繊維に空気を通すことが必要です。

ゆっくり自然干し&急いで臭いを飛ばす方法

防虫剤の臭いを取る方法としては、次のようなものがあります。

風通しの良い場所で日陰干しする
スチームに当てる
扇風機やドライヤーで風を当てる
乾燥機にかける
緑茶・紅茶成分を使う

時間がある場合には、自然に風を当てて置けばOKです。このとき、直射日光を当てると薬品成分が変色を起こす可能性があるので、日陰が安心です。蒸気は臭いを早く拡散させます。スチーマーやスチームアイロン、湯気の当たるお風呂場でも。

縮む恐れがない素材であれば、短時間だけ乾燥機にかけるのも良い手です。意外なところでは、お茶や紅茶を炒った煙をあてるという方法があります。炒ったものを紙の袋に入れて、全体をこすったり服に挟んでおいたりしても効果があります。

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