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鉛筆からシャープペンになったとき、子ども心に「カッコいい」感じませんでしたか?芯を削る必要もなく、半永久的に使えるシャープペンは画期的な発明のように思えます。ところで便利なシャープペンは、いつ頃から使われるようになったのでしょうか。シャープペンは鉛筆と比べたとき、デメリットはあるのでしょうか。ここでは誰もが一度はお世話になる、シャープペンについて詳しく見ていきましょう。

シャープペンとはどのようなものなのか〜シャープペンの特徴〜

同じ太さの芯が出続ける機能的な構造

シャープペンといえば、替え芯がなかに格納されていて、次から次へと出てくる構造が特徴的ですよね。いつも同じ太さの芯が出るため、一定のラインで文字を書き続けることができます。

シャーペンの芯が入っているタンクの先には、チャックといわれる部分があります。チャックは芯を送り出し、固定するという重要な役割を持っています。下を向けると芯は自然落下して、チャックの前で止まっています。ノックに従ってチャックが開き、芯をつかんで固定します。

芯のバリエーションは想像以上

シャープペンといえば、芯が必要ですがどのような種類があるかご存知でしょうか。

普通、シャープペンを購入するとほとんど入っている芯はHBですよね。でも、芯の濃さには、6B、5B、4B、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H、5H、6H、7H、8H、9Hまでのバリエーションがあるのだそうです。かなりの驚きです。

書き味がちょっと気になったら、芯の柔らかさを変えてみると良いかもしれません。手が疲れなくなるなど、思わぬ変化が感じられそうです。

同様に、太さにも種類はかなりあります。JIS規格では0.3mm(0.35mm)、0.5mm、0.7mm、0.9mm(1.0mm)、2.0mmとされていますが、そのほかにも0.2mm、0.4mm、1.3mm、1.4mmなどがあります。最も細い0.2mmは主に製図用として使われます。

太さはペンによって決まってしまいますが、文具店で試し書きして、好みの太さを探すのも楽しいですよね。

シャープペンと鉛筆を比較してみよう〜シャープペンのメリット・デメリット〜

機能性に優れストレスの少ないシャープペン

小学校を卒業する頃には、鉛筆からシャープペンへ持ちかえる人が多いようです。筆記の量が増える中高生からは、途中で削る必要のないシャープペンが重宝するようですね。

シャープペンの主なメリットとしては、次のようなことが挙げられます。

l 芯を削る必要がなく、長時間書き続けることができる
l 見た目がスタイリッシュ
l 円柱のフォルムで角がない
l 筆入れのなかで芯が折れない
l 持ち歩きの本数が少なくて済む
l 芯の太さの選択ができる

近年盛り返しが見られる鉛筆人気

一方で「シャープペンは、静かな場所でカチカチという音が耳ざわり」という意見もあります。鉛筆と比較した場合のデメリットも見ておきましょう。

l 書き文字のラインが硬質
l 筆圧の味が出にくい
l イラストや絵が薄く、見づらい
l 幅広い線が出ないため、塗りつぶしに適さない
l 濃淡がない
l 芯が折れやすい

鉛筆の柔らかな筆致と比較すると、硬質で濃淡がなく、味のない文字になりやすいといわれます。また、最大のデメリットとしては、書いている途中で芯がポキポキと折れてしまうこと。ノートの隙間に入ったり、床に落ちて踏んで汚したりといった経験は誰しもありますね。最近はペン先に工夫がされて、絶対に芯が折れないシャープペンといった商品も開発されているようです。

シャープペンはどのように発明されたのか〜シャープペンの歴史〜

子どものおもちゃ扱いだった最初のシャープペン

シャーペンの原型は19世紀のイギリスで生まれたといわれています。実用性に耐えるものではなく、当時は子どものおもちゃとしての位置づけでした。セルロイド製で耐久性もなく、太くて持ちづらいため、筆記には向かないものでした。アメリカでも製造されていたようですが、やはりすぐに壊れてしまうため、普及に至らず廃れていったようです。日本にも「繰出鉛筆」として輸入されましたが、その使いづらさからやはり人気は出ませんでした。

文具としてのシャーペンは日本発?

しかし、芯を繰り出すというその機構に、目を奪われた人物が日本にいました。それが明治生まれの金属細工職人、早川徳次です。腕の良い飾り職人であった徳次氏は、ニッケルや真鍮を使い、細身でしゃれた大人の文具を完成させたのです。ところが当時の日本ではまったく売れず、徳次氏を落胆させます。

そんなとき、なんと欧米から大量の注文が入ります。機能性に富んだ文具が海外で認められたのです。日本製のシャープペンシルは世界中で大ヒットを飛ばし、国内人気にも火がつきます。

ちなみにシャープペンシルは和製英語で、海外では「メカニカルペンシル」「プロペリングペンシル」と呼ばれています。そんな経緯から、シャープペンの特許は日本にあるのです。ちょっと誇らしいですよね。

早川徳次氏が大阪で立ち上げた会社は、みなさんも良く知る大企業となったシャープの前身です。社名は創業者の大発明から付けられていたのです。文具のシャープペンと電気メーカーのシャープがつながるとは、とても興味深い話ですね。

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