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季節が変わり、お気に入りのセーターを出してみたら…穴が!そんなことになったら悲しいですよね。防虫剤をうっかり入れ忘れたばかりに、大切な洋服が虫食いだらけになるなんて。でも、防虫剤ってどうして虫がよけるのでしょう。昔は強烈な臭いがしていたものですが、今のものは良い香りでも確かに効き目があるようですよね。そんな疑問や防虫剤に使われている成分、殺虫剤との違いなどについて調べていきましょう。

防虫剤とは、一体どのようなもの?

防虫剤には用途の違いがある

防虫剤は、その名の通り「虫を防ぐ」役割をもつ薬剤のこと。害虫の忌避効果があります。ひと口に防虫剤といいますが、用途は大きくわけて3種類。衣類用、人体用、食品用などが挙げられます。衣類用の防虫剤といえば、昔はクスノキの葉や枝の成分から作る樟脳でした。その後、大量生産ができる化学合成物のナフタレン、パラジクロロベンゼン製剤などが開発され、長く使われていました。タンスや衣装箱からいかにも出したて、といった衣類の臭いでおなじみなのが、これらの物質です。この刺激臭問題を解決するため、1980年代頃からピレスロイド系の化学物質を用いた無臭タイプが製造されるようになりました。このためか、最近ではあまり「ナフタレンくさい」人がいなくなったようですね。

衣類に付く虫っていったい何?

人の服を食べる虫って何なのだろう、と思ったことはありませんか?その正体は、イガ、コイガ、カツオブシムシ類などの幼虫たちです。これらの虫は、成虫になると繊維をエサにすることはなくなります。ではこういった衣服に害をなす虫は、いったいどこから来るのでしょう。タンスの奥からわいてくる、と信じている人もいるようですがそうではありません。親に当たる虫が外出時や、洗濯物に卵を産みつけ、タンスや衣装ケースの中で孵化します。環境によるものではないので、誰にでも被害に遭う可能性はあるのですね。

防虫剤には、どんな成分が使われている?

混ぜるな危険!は防虫剤でも同じ

現在市販されている防虫剤のほとんどは、樟脳、ナフタリン、パラジクロロベンゼン、エムペントリン、4つの種類の中のいずれかが使われています。これらの薬剤は混合すると、思いがけない事故につながります。中には人体の内臓に影響を与える、毒性ガスを発生する場合もあるので、防虫剤を入れる際に気をつけなければなりません。ひとつの衣装ケース内では、必ず同じ種類で統一することが必要です。そこまで甚大な被害でなくても、薬剤が溶けて衣類を台無しにするなどといったこともあります。

成分表示を良くみよう!防虫剤の特性と注意点

それぞれの防虫剤の成分を詳しく見てみましょう。

○防臭剤成分の特性と注意点

成分の名称 特徴・用途 注意点
エムペントリン (ピレスロイド系) 無臭

イガ・コイガの卵・幼虫に効果が高い

銅などを含む金属製のボタンや飾りには使えない
パラジクロロベンゼン 薬剤効果の拡散が速い

忌避効果・殺虫効果が高い

金糸・銀糸・ラメ製品や人形類、合成皮革には使えない

ナフタリン・樟脳との併用不可。 50℃以上で溶けるためシミの恐れがある

ナフタリン 比較的長持ちする

人形用・和服用に向く

パラジクロロベンゼン、樟脳とは併用不可
樟脳(しょうのう) クスノキから水蒸気蒸留で得られる製油成分

穏やかな薬効

パラジクロロベンゼン、ナフタリンとは併用不可

防虫剤は使ったほうがいい?〜防虫剤の効果〜

お気に入りには必須!防虫剤は衣類のガードマン

防虫剤はその成分の違いにもよりますが、虫を寄せ付けない、食欲を失わせる、弱らせて殺す、などの効果があります。食欲旺盛な幼虫たちは、衣類の繊維をせっせと食べてしまいます。長期間保管する際には、必ず防虫剤を入れることをおススメします。

防虫剤は、防虫効果のあるガスを充満させることで衣類に効果を発揮します。そのため、ひんぱんに開け閉めしたり、クローゼットの戸を開いたままにすると効き目がありません。また防虫剤のガスは空気よりも重いので、衣類の上部に入れなければ効果が薄れます。衣装ケースの場合には、ふたを閉める前に散らして入れると良いでしょう。

虫だって美味しいものが食べたい!高級品ほど狙われる?

同じケースに入れていたのに、あるものだけがボロボロになったという経験はありませんか?それも、高級品をまるで選んでいるかのように狙っています。衣類を食べる虫はとてもグルメ。化繊より天然繊維、毛織の中でもカシミア、といったようにより「美味しい」繊維を好みます。ケースの中を移動して、好みの繊維に取りついてしまうのです。小さな虫にしてみれば、ご馳走の御殿にでも住んでいるようなもの。それを想像すると、しっかりと防虫剤でガードしたくなりませんか?

ところで防虫剤の使用量ですが、パッケージに「160リットル」「8000リットル」などの記載があります。衣装ケースやクローゼット、タンスの引き出しの容量に合わせて、適正量を使うことで、より確実な防虫効果が得られます。使う前に大きさを確認しておきましょう。

防虫剤と殺虫剤、一文字違うとかなり違う

防虫剤は虫よけ効果の忌避剤が基本

パラジクロロベンゼン、樟脳、ナフタリンといった、昔から使われているものの多くは、虫を殺すほどの殺傷能力はありません。忌避効果といわれる、虫の嫌がる成分によって衣類を害から守るという考え方です。虫はわずかなすき間からでも移動してきます。防虫剤の入っていない住みやすいケースに、集まってくるかもしれませんね。

また、害虫は人間の皮脂や食べこぼしの跡なども好みます。汚れが多いと、それだけ彼らのエサが増えてしまうということです。カビの原因にもなりますので、衣類を収納する際にはしっかりと洗ってから、が基本であることはいうまでもありません。

殺虫・殺卵効果がある成分も

最近開発され、商品にも応用されているのは、ペルメトリンなどの合成ピレスロイド系成分。殺卵効果があり、より強力に衣類を守るといわれています。衣類を荒らす、一般的な害虫に広く効果を表します。商品名に「ピレ」と付いているものが、この成分配合と考えられます。成分表示を確認してみてください。

意外なことに、電池式の蚊取りも効き目があります。本来のターゲットとは異なりますが、

使われている薬剤のメトフルトリンやプロフルトリンやトランスフルトリンは、広範囲の昆虫に殺虫作用を持ちます。クローゼット内など開け閉めが多く、なかなか防虫効果が行き渡らないところには、一度試してみる価値があります。人体への影響も低く、安心して使えるのもメリットといえるでしょう。

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