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プリンター本体の価格は各メーカーとも、かなり安くなりました。が、ランニングコストが高いという声は相変わらずです。実はプリンターの設定やプリンター自体の使い方、フォントの選び方を変えるだけでもインクの消費量は変わります。また、ソフトを導入することでコスト削減につなげることもできます。知らないとかなり損するインク節約術の数々。今すぐ実行できる裏技をご紹介してゆきます。

インク節約ソフトとは?節約の仕組みと本当にお得なのか分析

意外と単純!インクが節約できるソフトの仕組み

かっちりとカートリッジに仕込まれたプリンターのインク量を調節するのは、なんだかとても難しそうに感じます。そこで、プリンターのインクを節約してくれるというソフトに注目してみましょう。インクが節約できるソフトとは、どんな仕組みになっているのでしょうね。

インクジェットプリンターは、より鮮明に印刷するためにインク滴を重ねて使用します。その印刷品質を下げて、インク量を節約するのがこのソフトの機能です。インクの使用量による調節なので色味が薄くはなりますが、解像度を下げるわけではないので極端にぼやけることはありません。濃度は段階的に変更でき、その加減によってインクの使用量を抑制します。

使い方が面倒なのでは?という心配も無用です。インストール時には操作が必要ですが、一度入れてしまえば印刷のときの特殊な作業は必要ありません。いつも通りの画面で、特に意識しなくても自動でインクの使う量が少なくなります。

インクが節約できるソフトってどのくらいお得?

インク節約ソフトには有料ソフトフリーソフトがあります。有料ソフトの価格帯は3,000円~4,000円が主流で、ダウンロード版の提供もあります。フリーソフトの場合、最大50%の節約が謳われていますが動作保障はされておらず、現在のプリンターの仕様に対応できないものもあります。インストール後にパソコンのパフォーマンスが極端に低下した例も報告されています。

設定はどのソフトもあまり違いは見られず、有料ソフトではインク使用率を0%~100%の間で変更できます。使用感には、各ソフトによりかなりの差があるようです。購入前に無料お試しダウンロード版で、実際の印刷物の確認をしてみるようお勧めします。
実際にどの程度の節約になるかですが、効果はかなりの期待ができます。某メーカーの検証によると、印刷枚数の増加により節約効果がより明確になります。

※一般的な4色インクジェットプリンタでA4カラー文書作成した場合

1日の平均印刷枚数 年間のインク
カートリッジコスト
40%off時の推定年間節約金額
5枚 13,100円 約5,000円
10枚 26,300円 約10,000円
25枚 65,700円 約26,000円

1日5枚以上の印刷でも1年使えば十分に元手は取れます。節約効果と動作保障の点を考慮すれば、やはり有料ソフトを購入するのが確実でしょう。

プリンターの設定を変更してお手軽にインク代を節約

お金をかけずに今すぐ節約できるプリンター設定

節約はしたいけれどもそのための予算がとれないという場合は、プリンター自体の設定変更でもインク消費量がかなり変わってきます。設定の変更は「プリンターのプロパティ」画面から行ないます。今すぐにでもできる手段として、次の4つが挙げられます。

1.インクセーブ機能を使う
2.モノクロ印刷
3.縮小印刷・濃度変更
4.速度変更

インクセーブ機能については、機種により異なります。「トナーセーブ」「セーブモード」「インク節約モード」などの項目があれば、チェックを入れるだけです。メーカーにより機能がない機種もあります。
文書の印刷が多いのにも関わらず、カラーインクの減りが早いと感じるのは、ブラックやグレー印刷にもカラーインクが混ぜて使われているからです。基本設定画面から「白黒」「グレースケール」「モノクロ」などにチェックを入れます。カラー印刷が必要な場合には、都度、指定することになります。
また小さく印刷することでその分使うインクが少なくて済みます。多少小さくても気にならないものについては、2ページ分をまとめる「2in1」などを選択して縮小印刷をかけます。また、インクの濃度を薄くする機能があれば、濃度変更をします。
速度を優先すると、印刷品質を落としてプリントするためインクの節約になります。「速度優先」「速い」などにチェックを入れておきましょう。

プリンター設定変更の難易度とデメリットについて

プリンター設定から気軽に変更できますが、画面設定がわからないと不便な場合もあります。

難易度 メリット デメリット
インクセーブ機能 自動で節約モードになる 機種により対応していない
モノクロ印刷 カラーインク節約 カラー印刷時に選択が必要
縮小印刷 用紙も節約できる ややわかりにくい
速度変更 印刷が速い 印刷品質が落ちる

「電源を消さない」「フォントを変える」インク節約の噂を検証

オン・オフの頻度でインク消費量が変わるのは本当なのか

待機電力を考えれば、プリンターの電源をこまめにオン・オフしたいところですが、実はインク消費量に関してはあまり良いことではありません。電源をオンにしたときに、プリンターがしばらくガタガタと動作をする機種は、ヘッドクリーニングを実行しています。数滴のインクが都度消費されるわけですので、電源を切る回数が多いとそれだけインクの減りが早くなります。

対策としては、できるだけまとめて印刷をするか、朝電源を入れたら夜まで切らないなど自分でルールを作るのが良いでしょう。真面目な日本人としては、何だかもったいない気もしますが、電気代とインク代の比較で考えれば、その程度は目をつぶった方が良さそうです。プリンターのインクは、1mlあたりに換算すると120~150円となります。同じ量の高級シャンパンのドンペリは70円、有名ブランドの香水は33円です。1適もムダにしたくない気持ちにもなるわけですよね。

プリンターの電源を切るときには必ず本体のスイッチを使ってください。コンセントをタップにつないでいる場合、タップから電源を落とすいう方法もあります。が、本体スイッチで電源を切ると、ヘッドが保管位置に収まりキャップされるのに対して、タップを使うといきなり電気が遮断されるためそれが行われません。コンセントを抜くのも同様です。キャップがされないまま放置するとインクヘッドが乾燥し、目詰まりしやすくなります。また、あまりプリンターの使用頻度が高くないという場合でも、1週間に1度は印刷をかけた方が良いでしょう。目詰まり解消のための、ヘッドクリーニングは電源オン時とは比べ物にならないほど、インクを消費します。目詰まり防止策を考えるのも、プリンターインク節約には大切なことです。

新発見!フォントを変えるだけでインクの減りも変わる

フォントによって印刷コストが変わるというニュースが、最近アメリカで話題になりました。14歳の少年がいくつかのフォントを比較研究した結果、数百万ドルもの印刷コスト節約につながると政府に提言したのです。この研究を受けて、日本語フォントでも調べてみた結果があります。それによると、「ヒラギノ明朝 」「小塚明朝」「MS 明朝」比較では、「MS明朝」のインク消費量がもっとも少ないということでした。これらは、一般的にWindowsパソコンに最初から入っている、プレインストールフォントです。

その他、インク節約に向いている日本語フォントでは、和文極細フォントとして「小塚ゴシックEL」があります。ただこちらは、「Illustrator」や「Photoshop」などがパソコンに入っていないと使えません。お金のかからないフリーフォントにも極細系「M+ FONTS」「Rounded M+」などがあります。また有料フォントですが、人気が高い極細フォントに「AXIS」があります。こちらは和文欧文フォントがそろっており、大手有名ブランドの広告にも利用されています。文字のひとつひとつに小さな「穴」を作り、インク使用料を減らす「エコフォント」は無料ダウンロードができます。大きくすると見づらい感じがありますが、通常の印刷物の文字サイズならば問題なく利用できます。一度試しに使ってみると良いですね。

エコフォントの場合、インクを20%も節約できます。その他のフォントについても、印刷する機会が多いほど確実に節約につながります。ビジネス文書などあまりデザイン性に関係のない印刷物ならば、節約フォントの使用を頭において、文書作成してみてはいかがでしょうか。

インクの種類を変えてインク代を節約する方法

リスクはあるが、インクの種類で経費削減は可能

これまで様々な節約法を考えてきましたが、根本的にインク代を安くする方法はないのでしょうか。ネット通販、大手電機店でも純正品については極端な割引は期待できません。純正インクは、プリンターの各メーカーが独自で開発しています。プリンターの本体機能に合わせた色配分がなされ、耐光性や耐水性にも優れています。このような開発費が含まれているとはいえ、やはり純正インクは高額に感じますよね。そこで代替品となるインクですが、大きくは次の3つが考えられます。

  • 互換インク
  • リサイクルインク
  • 詰め替えインク

互換インクとは、互換インク会社が独自に開発しており、インク残量を図るためのICチップを搭載している商品もあります。
リサイクルインクは、カートリッジ本体と、ICチップは純正品を再利用していますが、中味のインクの成分が純正品とは異なります。
詰め替えインクは、詰め替え用カートリッジに自分でインクを充填するものです。

いずれも純正インクと比較すると、半値以下の価格で使用することができますが、印刷時のトラブルについては自己責任となります

メリット デメリット
互換インク 多くは正規品と大差なく使用することができる。 品質にばらつきがある。提供している会社の情報の確認が必要。
リサイクルインク 純正品カートリッジの再利用なのでエコ。 残量感知用ICチップはついているが中古なのでトラブルも多い。
詰め替えインク カートリッジを準備すれば相当な安価で使える。 詰め替えの手間暇がかかる。
汚れやすい。

ほとんどのプリンターで格安インクへの取替えはできる

互換インクを使ってみたい場合、どのメーカーにも対応しているのか気になります。現在は、EPSON、CANON、HP、ブラザーなど大手メーカーのプリンターは、よほど古い機種でない限り互換インクを探すことができます。価格帯は、純正品よりも2,000~3,000円ほど安く、かなり魅力的です。では、純正インクと互換インクにはどのような違いがあるのでしょうか。

純正インクには、やはりメーカーブランド品としての安心感があります。トラブル発生時に、メーカーの保証期間内であれば無償修理対応が可能です。ユーザー側に大きな過失がなければ、基本的に無料で修理をしてもらえます。しかしこの時、互換インクなどを使っていると無償修理対象外となる可能性があります。

互換インクはコストパフォーマンスに優れ、安価でありながら印刷品質もそれなりの商品がほとんどです。オリジナルのカートリッジを使用しているため、大容量のインクもあります。互換インクの販売企業は、独自の開発を行っており、優秀な商品も多数あります。その一方で粗悪品を購入してしまう可能性も少なくありません。使用についても、故障修理についても、すべて自己責任となることを十分に理解しておきましょう。コストと安全性や機能性を良く検討し、純正インクか互換インクかを選択する必要があります。

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