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砂糖イコール太る、と思われがちですが、砂糖を摂ることで身体への良い効果も期待されます。脳の唯一のエネルギー元は糖類。砂糖が脳に与える影響とは、どのようなものなのでしょう。運動選手は糖分を上手に補いながら、成果に結びつけているといいます。砂糖と運動の関係も気になりますよね。敬遠されがちな砂糖ですが、その効果にスポットを当てて見ていくことにしましょう。

砂糖の摂取と脳の関係

脳のエネルギー源は砂糖?

「疲れたときや勉強の合間には、甘いモノを」と言われるのは、脳のエネルギーが糖分だから。これはよく知られた話ですよね。脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖。だからといって、砂糖を食べれば頭が良くなるかというと、それはまた別の話のようです。砂糖の成分であるショ糖も確かにブドウ糖に変換されますが、ご飯などの炭水化物も時間を経てブドウ糖に変わります。フルーツに含まれる果糖も同様です。つまり脳のエネルギーとなるのは、甘いモノばかりではないということ。ここを間違えてしまうと、逆に身体にとって害となってしまうだけです。

脳細胞はブドウ糖だけが頼り

脳細胞はエネルギーの90%をブドウ糖に頼っています。人間が脳を正常に機能させるため、1日に必要とするブドウ糖は、100~150g程度です。これは身体全体と脳の重さから考えると、相当な量になります。しかし、問題となるのが脳細胞はブドウ糖をキープしておけないということ。つまり、血液中の血糖値は常に安定していなければなりません。

何らかの原因で、血液中のブドウ糖が極端に不足すると低血糖に陥り、意識を失ったり呼吸困難になったりするなど、重大な症状を引き起こします。

砂糖、特に精製された上白糖は不純物が少なく、すぐに吸収されるため血液中の血糖値は急速に上昇します。しかし、数時間後には上昇時と同じく急激に下降するため、反動で低血糖の状態となる可能性もあります。

砂糖の摂取とストレスの関係

砂糖は“ストレスホルモン”を抑制する?

砂糖とストレスの関係の研究結果が、2015年4月に「ジャーナル・オブ・クリニカル・エンドクリノロジー・アンド・メタボリズム誌」上で発表されています。それによると、砂糖の摂取で、ストレスによって分泌されるコルチゾールが抑制されるという結果が明らかになったそうです。この研究では、人工甘味料のアスパルテームも同じ条件で調査が行われましたが、そちらでは反応が見られず、ストレスに対しての効果がないことがわかりました。疲れたり、イライラしたりすると甘いモノが欲しくなるのは理にかなっており、しかも砂糖でなければいけないということのようですね。

砂糖は“リラックスホルモン”を増幅させる?

また、砂糖の甘味にはリラックス効果があることも、以前から知られています。舌が甘味を感じると、脳への刺激として伝わり「エンドルフィン」と「セロトニン」という物質が分泌されます。「エンドルフィン」はいわゆる「脳内麻薬」といわれ、幸福感を与える物質。そして「セロトニン」は精神安定とリラックス感を与えます。ケーキなどを食べると幸せな気持ちになり、その後もゆったりとくつろぎを感じるのはまさに砂糖の甘味のせいだったのですね。ただ、砂糖のストレス軽減効果は、習慣性があるため「砂糖依存」に陥る危険性も。「自分へのごほうび」は、ほどほどにしておいたほうが良さそうです。

砂糖の摂取と運動の関係

スポーツ時の疲労防止のカギはグリコーゲン

運動するときのエネルギーは、酸素とブドウ糖から作られます。血中の糖分が不足すると、低血糖で目まいを起こすなどの症状が出ます。ブドウ糖は筋肉と肝臓に「グリコーゲン」という形で備蓄されます。運動をすると、ブドウ糖は血糖となり血管を巡ってエネルギーに変わります。しかし、激しい運動を続けているうちにグリコーゲンは不足していきます。すると今度は、筋肉からアミノ酸を分解して、ブドウ糖を作り出そうとします。グリコーゲンが不足するほど、疲労が起こるのはこのためです。また、失われたグリコーゲンが多いほど、疲労回復にも時間がかかります。

砂糖は瞬時にエネルギーに変わる

運動の合間に、キャンデーやチョコレートで糖分を補充するのは、この一連の機能に関係しています。砂糖は体内でブドウ糖に変わり、エネルギーに変換されます。ただし、最近の研究では運動直前に砂糖を摂ると、乳酸が増加してかえって疲れやすくなるといわれています。

そこでマラソンなどの激しい運動をする場合には、前日の夜か朝に砂糖を摂っておくと筋肉や肝臓にグリコーゲンとして備蓄できます。また運動の直後に砂糖を摂ると、失ったグリコーゲンが補充されるので疲労の回復が早まります。

筋肉トレーニングの前後を調べると、1回のトレーニングでグリコーゲン量は半分まで減少します。その後、糖質の多い食事を摂ると翌日までに、グリコーゲン量が回復できるといわれます。

このようにエネルギー量を多く費やす運動には、砂糖は不可欠です。また、毎日の通勤や掃除、散歩、草取りなどのさまざまな動作の中でも、グリコーゲンは使われていきます。ダイエットを意識するあまり、糖質を抑え過ぎると疲れやすくなります。運動量に合わせて、上手に砂糖の摂取を調整すると、疲労も早く解消できそうですね。

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