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今では文房具店に行くと、糊の種類も豊富ですよね。従来のチューブ型だけではなく、スティック型やテープ型など、用途に合わせて選ぶことができます。何気なく使っている、生活になくてはならない糊ですが、その歴史とはどのようなものなのでしょうか。昔はご飯をおかゆ状にした、姫糊というものがあったようです。今の糊の原料は何でしょう。身近にありながら、割と知られていない糊にスポットを当てて見ていきましょう。

のり(糊)はいつごろ使われるようになったの?

糊は桶で売られていた?

「スズメのお宿」のお話では、小雀がおばあさんの作った糊を食べて舌を切られましたよね。昔、糊は各家庭で作るものだったようです。「糊」という字に「米へん」があるように、「」が変形してできたといわれます。その文字が表す通り、当時の糊はおかゆから作られる、でんぷん糊。ニカワや漆を利用したものもありましたが、お米などのでんぷん質を使う糊が主流でした。食べ物から作るため、当然、日持ちはせず保存がききません。江戸時代には、桶をかついで糊を売り歩く商売がありました。恐らくは障子張りや着物の洗い張りなど、大量に使う際に買われていたのでしょう。

文房具として売られたのは明治から

「姫糊」と呼ばれるお米などから作られるでんぷん糊から、現在に近いものになったのは、明治以降です。1896年に不易糊、1899年にはヤマト糊がドイツの手法をヒントに、くさらず保存できる糊を開発・販売しました。不易糊は現在の不易糊工業(株)、ヤマト糊はヤマト(株)です。両社とも、でんぷん以外に防腐剤や、粘着性を高める薬品などを加え、品質を安定させました。姫糊の時代にはでんぷん糊を水で溶いて使いましたが、不易糊やヤマト糊は粘度を高くして、容器での販売がしやすいようにしています。しかし、売り出し当時はとても高価で、庶民は相変わらず、お米をつぶして糊として使っていたようです。

時代とともにのり(糊)の原料は変わってきたの?

糊の材料には何があるの?

でんぷん糊の原料としてされるのは、次のようなものがあります。

l  米
l  小麦
l  トウモロコシ
l  馬鈴薯
l  甘藷
l  タピオカ

長い間、米が主な材料として使われていましたが、次第にさまざまなでんぷんが加わってきました。特に二次大戦中は食物が不足し、花のでんぷんなども利用されていたといいます。

また、液体糊などの普及につれて、でんぷん以外の材料も使われるようになっていきます。

液体糊の初期はゴムが材料だった

明治40年頃、イギリスからゴム原料とする液体糊が輸入され始めます。大正8年には、国産の液体糊が発売。この原料となったのは、インドから輸入されたアラビヤゴムです。薄付きでも粘着力が高く、手を汚さずに貼ることができるので大変重宝されました。現在は、石油由来の合成樹脂が原料として広く普及しています。合成樹脂から作られる糊は、粘着力の強度の調整がしやすく、さまざまな形状で作ることができます。姫糊のようにカビが発生することもないので、性質の変化や劣化の心配もありません。

現在ののり(糊)はここまで進化している!

一大発明?テープ糊は大進化

スティックや液体までは、従来の糊の延長におけるとしても、テープ糊の出現はかなり画期的。それまでの糊の概念を覆したテープ糊は、汚れずスピーディに貼れるという特徴が、現代のニーズに即しています。さらに「付けてはがせる」のが、オフィスで支持される理由でしょう。

糊の出番が最も多い事務作業といえば、封筒の口閉じ。作業の効率が、テープ糊の登場で各段にアップしたのではないでしょうか。

最近では貼り合せたものをはがせるというだけではなく、テープ糊の曲がったラインも、直後ならば修正可能という進化型が出ています。また、テープ糊の容器も開発が進み、ノック式やスライド式などより使いやすいテープ糊が次々と発売されています。

糊の接着面にまで進化は訪れる?

最近では糊の接着面がドットになっていて、確実に接着しながらもベタつきにくいという商品もあります。また、ペンのように細い糊や、スタンプタイプのワンポイント接着ができる糊も。スタンプとライン両方に対応したハイブリット型もあります。もちろん、以前からあるタイプの糊も着実に進化を遂げています。おなじみのスティック糊は、広い接着面を貼るのにはかかせません。以前のものはダマになったり、ひっかかりができたりといった難点もありましたが、なめらかで均一に塗れる高機能タイプが登場しています。

現在の糊は、貼った直後は修正可能で、数分後にはしっかりと固定されるといった、時間差タイプが主流。時代が進んでも、糊の必要性はなくなりません。今後もますます便利に、バラエティ豊かになっていきそうです。

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