生活全般が欧米化された現在でも、公的な書類や各種の申込書などで必ず必要となるのが印鑑 です。単なる認印から、届け出が要る実印まで種類もさまざま。最近ではプライベート用のデザイン性が高い印鑑もあります。ここでは印鑑の素材や大きさ、用途別の使い分けなどを見ていきましょう。
<目次>
印鑑に使われる素材には何がある?
自然素材から合成樹脂、金属までハンコが作れる
今は100円ショップでも印鑑が購入できますが、その素材は何でできているのでしょう。一方で、貴重な素材の印鑑には数百万円以上するものも。印鑑に使われる素材と、その特徴などについて調べてみました。
○印鑑の主な素材と特徴
種類 | 印鑑素材 | 特徴 |
---|---|---|
木材系 | 薩摩本柘 | 繊維が緻密で耐久性がある。お手頃価格で良品が手に入りやすい。 |
黒檀 | 重量があり水に沈むほど比重が重く、硬質。銘木として珍重される。 | |
白檀 | 高貴な香りのする高級木材として工芸品などで使われる。 | |
楓 | 耐久性にすぐれ合法的な管理の元で伐採される。エコ素材。 | |
アグニ | 木材と樹脂を6:4で合成した新素材。ひび割れに強く強度が高い。 | |
牙系 | 象牙 | 最高級品の印材として使われる。非常に希少価値が高くなっている。 |
河馬牙 | 象牙よりも少し硬度に劣るが、美しさは同等以上。 | |
マンモス牙 | 象牙と同材質だが耐久性は象牙以上。非常な貴重素材。 | |
牛角 | 角素材としては手に入りやすく手頃。 | |
黒水牛 | 重厚感がある外見が特徴。経年により収縮し凹みが出る場合がある。 | |
金属・その他 | チタン | 現時点でもっとも硬度の高い金属。耐久性に優れる。 |
カラーメタル | 軽量で耐久性に優れる。カラフルな色合いが人気。 | |
アクリル | ポップでカラーバリエーションに富む。若い女性に人気。 | |
琥珀樹脂 | 軽く手に馴染む。夏は冷たく冬は温かい感触。 | |
一生ものの実印素材には何を選べば良いの?
実印とはいえ、あまり値の張るものは…と考えるのであれば、エコ素材かつげがおススメです。エコ素材は、バーチ材とフェノールレジンを高圧加熱処理してつくられ、木材のようなひび割れの心配がなく耐久性に優れています。つげは古くから強度のある木材として知られ、くしを始めとする多くの工芸品に使われてきました。印鑑素材としては、経年劣化が起きにくく印字も変わりません。
思い切って良いものを、という場合には本象牙やオランダ水牛角が風格や使い心地の点で群を抜いています。また、風水人気を受けて水晶やアメジスト、ローズクオーツといった硬度があり、美しい貴石材の印鑑を選ぶ人も多いようです。
印鑑の大きさ(サイズ)はどれくらい?
目的・文字数・性別による印鑑サイズ
印鑑の大きさは、印面の直径のよって表されます。文字数や書体は用途によって変わり、それに従ったサイズ選びが必要になります。
○印鑑のサイズと主な用途(単位:mm)
用途 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
認め印 | 12.0~13.5 | 10.5~12.0. |
銀行印 | 13.5~15.0 | 12.0~15.0 |
実印 | 15.0~18.0 | 13..5~16.5 |
基本的には、自分の好みや他にもっている印鑑の大きさによって、新しい印鑑のサイズを選んで問題ありません。実印の場合には、フルネームが必要となるため男性16.5~18.0mm、女性15.0~13.5mm と普段使う認め印よりも大きいものを求める傾向があります。
印鑑の大きさと印字可能な文字数の関係は?
印鑑の印面のバランスを考えた場合、刻印できる文字数はある程度決まっています。特殊な文字の書体などによっても配置バランスが変わるので、特殊な苗字などの場合には業者と相談すると良いでしょう。アルファベットも刻印可能ですが、やはり文字数には制限があります。不自然な改行とならないために、配置にも工夫が必要となります。
○刻印文字数の例
印鑑サイズ | 刻印文字数(漢字・かな) | 刻印文字数(アルファベット) |
---|---|---|
13.5mm | 2行:姓、名各2~3文字 | 5~6文字程度 |
15.0 mm | 2行:姓、名各3文字 | 5~6文字程度 |
16.5 mm | 2行:姓、名各3~4文字 | 7~8文字程度 |
18.0 mm | 2行:姓、名各3~4文字 | 7~8文字程度 |
用途別に印鑑を使いわけよう!
最低いくつの印鑑が必要?
何気なく日常的に使っている印鑑ですが、本来はいくつくらい使い分けが必要となるのでしょうか。仕事をしている場合に、個人が最低持つべき印鑑は次の4つです。
- 実印
- 銀行印
- 認め印
- 訂正印
実印については、自動車登録や不動産売買、金銭などの貸借証書で必要となるもっとも重要度の高い印鑑です。実印とは、住民票のある自治体の窓口で登録処理を行なったものを指します。実印として作成した印鑑でも、登録されていないものは実印として使えません。銀行印は特に形式は定まっていませんが、苗字を横書きした印鑑が吉印といわれています。認め印と印鑑の種類としての違いはありませんが、紛失した場合手続きが煩雑となるため、銀行ごとにしっかりと管理する必要があります。訂正印はごく小さな5~6ミリサイズの丸や小判型の印鑑です。業務上、書類の訂正などで必要なシーンが考えられます。早めに準備しておくと便利です。
会社で使う印鑑についても知っておこう
会社の印鑑をあまり扱うことがない人でも、一応知識として知っておくと良いでしょう。
・会社の実印:代表者印とも呼ばれます。本店所在地の法務局へ届け出を出す必要があります。セキュリティの観点から、偽造されにくく、役職名・会社名が施されたものが推奨されています。
・会社の銀行印:代表者印と併用する場合もあります。円形の外周に会社名を入れ、内側に「代表者印」「代表取締役印」などと入れてあるものが多いようです。
・会社の角印:正式な会社名を読みやすい書体で彫るのが一般的です。請求書、領収書、納品書などに使用されます。
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