どんな人でも、一度も鉛筆のお世話になったことが無いという人はまずいないでしょう。筆記具として子どもの頃に出会う鉛筆。良く見てみればデザイン性にすぐれ、とても機能的ですね。いったい誰がいつ 発明したのでしょうか。鉛筆の六角形の秘密は?身近にあって意外と知られていない、鉛筆の歴史を紐といてみましょう。
<目次>
鉛筆って、いつ、誰が発明したの?
16世紀のイギリスで黒い鉛が見つかった!
鉛筆の始まりは、エリザベス王朝時代の1564年にさかのぼります。イギリス北部にあるボロ-デール鉱山で非常に良質な黒鉛(グラファイト)が発見されました。黒くなめらかな線が途切れずに描かれるその性質に注目が集まり、細長く切ったものを毛で包んだり、紐を巻いて使っていました。木で挟んで使ったのが、後の鉛筆の原型ともいわれています。始めは黒鉛をそのまま使っていましたが、やがて炭鉱を掘りつくすと、黒鉛の粉末と硫黄を混ぜて固めて棒状にすることが考案されました。1760年にドイツのカスパー・ファーバーが黒鉛の粉を硫黄などで固め、芯を作り上げました。
芯が完成、さらに使いやすい軸を開発
1795年には、フランスでニコラス・ジャック・コンテが硫黄の代わりにねんどに黒鉛を混ぜる方法に着目。さらにこれを焼き固めることで強度をもたせました。この時代すでに、粘度との混合比率で芯の柔らかさを変えることに成功しており、現在の鉛筆芯の原型が完成しています。
より使いやすい形とするため、芯を取り囲む軸が進化し続けます。始めは細長く切った木に四角い溝をつけて黒鉛を入れ、ふたをする方法がとられました。これを丸く削り出すことで、四角い芯の鉛筆となります。さらに19世紀の後半にアメリカの鉛筆業者が、芯を丸く削る方法考案し、現在おなじみの鉛筆の形が出来上がるのです。
鉛筆の六角形は誰の発明?
六角形の鉛筆は19世紀ドイツから
筆箱に入っている鉛筆の多くは、六角形ですね。鉛筆芯を発明したカスパー・ファーバーは、今日のファーバーカステル グループの創始者です。画期的な六角形の鉛筆を作り上げたのは、この企業の4代目の経営者ローター・ファーバー。彼は、鉛筆の品質や形状が統一されるさまざまな基準を開発した「現代鉛筆の父」でもあります。世界ブランドであるファーバーカステルの鉛筆の刻印“A.W.Faber”もまた、彼の発案だといわれています。そしてこれが大量生産の商品に、初めて企業名が刻印された例として伝えられています。
六角形鉛筆の特性は?
六角形の鉛筆が普及した理由として、机の上で転がりにくいということはすぐに見当がつきます。さらに、人間が文字を書こうとする場合には、必ず親指、人差し指、中指の3点で支える必要があります。このため、指の当たる面は3の倍数でなければいけません。一時三角形の鉛筆も発売されたことがありますが、筆箱の中の納まり具合からなのかあまり人気がなかったようです。手のひらに収まりやすく、書きやすく、転がりにくいという特徴を満たすには、六角形がベストなのでしょう。一方で、六角形の面を作るためには芯の強度の問題で、非常な苦労があったようです。色鉛筆の芯は最近の開発力で強度が増しましたが、黒鉛芯と比較し、おれやすいという性質があります。最近まで色鉛筆に丸軸が多かったのには、このような理由があったのですね。
消しゴム付き鉛筆は誰の発明?
さすが合理的!消しゴム付き鉛筆はアメリカ発だった
後にはシャープペンシルにも応用されている消しゴム付きの鉛筆はとても便利ですが、開発者はアメリカ人のハイマン・リップマンです。デッサンの途中でよく消しゴムを失くしてしまっていた彼は、いちいち探すのがよほど面倒になったのでしょう。ある時、鉛筆と消しゴムをくっつけた商品を思いつきます。同様のケースに悩まされていた人が他にも大勢いたようで、目からウロコの思い付きに、消しゴム付き鉛筆は当時から大ヒットを飛ばします。必要は発明の母、ということばを地でいったような発明です。
消しゴム付き鉛筆についてのあれこれ
消しゴム付き鉛筆にまつわる逸話からアイデア出しや発明の手法で、既にある2つのものを融合させる考案方法を、“ハイマン法”と呼んだりしています。しかしながら、一度はアメリカで特許を取得した消しゴム付き鉛筆については、新規な考えではないということで、後に特許が無効となってしまっています。
消しゴム鉛筆についている消しゴムが、一般的な消しゴムに比べてどうもきれいに消せないと感じることはないでしょうか。現在のよく消える消しゴムはプラスチックが原料となっています。しかしプラスチック消しゴムには耐久性がなく、鉛筆にセットするほどのサイズではちぎれたり割れたりしやすくなります。消しゴム鉛筆に使われているのは、生ゴムを原料とする昔ながらの消しゴムです。そのため、普段の消しゴムと比較すると、「消え味」が今ひとつと感じられるかもしれません。
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