万年筆の書き味はボールペンと異なり、ソフトでなめらか。その使い勝手の良さが見直されて、人気が再燃しているようです。「万年筆を文字限定にするのは、もったいない。実はイラストでもいい味が出る」という、愛好家も増えています。ここでは万年筆を使ったイラストの描き方、イラスト用におすすめの万年筆をご紹介していきます。
<目次>
万年筆って、イラストを描くのにも使えるの?
文字だけじゃもったいない万年筆の実力
漫画やイラストを描く方はご存知のように、Gペンや丸ペンというインクをつけながら使用するペンがあります。筆先は万年筆もこのペンたちと似た様な形状。万年筆がイラスト向きというのも、うなずけます。インクをつけながら描くのは、なかなか慣れがいりますが、万年筆ならば初心者でもスムーズです。インクボトルを持ち歩く必要がないので、どこでも思いついたときにささっと使えます。ボールペンよりも柔軟性のあるタッチで、強弱がつくのも特徴。万年筆といえば大人が持つ高級イメージがありましたが、最近では気軽に使える安価でポップな商品がたくさん登場しています。
万年筆によって書き味はさまざま
老舗の本格派万年筆から1000円前後のものまで各メーカーから売り出されていますが、それぞれに持ち味があります。ペン売場に試し書きの紙が置いてある場合は、どんな書き味か自分で確かめてみましょう。
○万年筆の書き味例
P社太字 | なめらか インクが出やすい |
P社細字 | 細い線が描きやすくクロッキー向き |
S社EF極細字 | 太線・細線が自在 漫画向き |
P社1000円万年筆 | 万年筆の初心者におすすめ |
太字タイプはインクがたっぷりと出てスムーズです。力を入れずに描きたい人に向きます。細字タイプは細かい書き込みができ、本格的なイラストを描きたい人にもおすすめです。万年筆自体が初めてならば、流行中のライトな商品から始めてみましょう。
万年筆でイラストを描くときのポイント&コツ
万年筆のしくみを知ろう
万年筆は胴体部分に仕込まれたインクタンク(カートリッジ)から、毛細管現象によってインクが細い溝を伝わってペン先まで下りてきます。ペン先の球体が回転してインクが転写されるボールペンのしくみと違い、筆圧や角度によってインクの分量が変わります。そのため、同じ万年筆を使っても、まったく異なる太さの線になります。特有のとがったペン先は、角度によってひっかかりを生じ、また左右どちらかに傾いていることでうまくインクが出ないときもあります。万年筆をよく見ると、紙に押し当てられた割れたペン先からインクがにじみ出ることがわかります。
イラストの線は角度と筆圧が決め手
万年筆で描いた線は、ペン先を立てる角度で変わってきます。垂直に近いほど細くなりますが、逆にあまり浅い角度でも再び細くなっていきます。もっとも太い線が現れるのはおよそ55度の角度です。
また、もっともインクが出やすいのはねじれがない状態の時です。紙に対してフラットなほど、太い線が描けることになります。
万年筆でイラストを描く場合には、この特徴を利用して線の強弱を使いわけることがポイントとなります。当然筆圧が強いほど、インクも大量に出ますが、ペン先を傷めやすいのであまり力を入れずに描くようにしてください。
○万年筆の線の強弱のポイント
- 万年筆を押す強さ
- 万年筆を立てる角度
- 万年筆を持つ際のねじれ
イラストを描くのにおすすめな万年筆はコレ!
跳ね上がり型のペン先が自在な筆使いを実現
セーラーから発売された、ペン先が上向きにカーブしたユニークな万年筆が話題です。しかも本体価格は1000円と言う安さ。筆書きのような文字も、イラストもとても描きやすいと人気急上昇。イラスト向きの万年筆というと、真っ先に候補となるほど。ペン先角度が40度、55度と2種類あり、手に合わせた選択ができます。さらにプロフィットのボディ版が2100円。「長刀研ぎ」の受注生産品が各21,000〜57,750円で11種類ラインナップされています。手軽に買えるバージョンで書き味を試し、慣れたら少しずつグレードアップするのも楽しみですね。
寄付事業を展開している「絆の万年筆」
トライアングル万年筆からも、ペン先を曲面にして角度を気にせずに使える商品が販売されています。筆圧に関わらずラインの強弱が付けられるため、これまでのように力加減に苦労することもありません。この特徴がイラストを描く場合にも生かされます。ボールペンのように気軽に使え、万年筆特有の柔らかさや繊細さが楽しめます。なめらかな筆致はイラストを描く際にもストレスになりません。価格はカートリッジインク6本にボトルインク用のコンバータ付きで3600円とお手頃です。万年筆が初めてという人でも、ペン先になじみやすい商品となっています。
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。