ヘアカラーがごく当たり前のおしゃれになって、ずいぶん経ちます。今や染毛は白髪を隠すためのものから、ファッションの一部となりました。ところでヘアカラーは、どんな仕組みで髪に色を付けているのでしょうか。一度染めると色落ちすることなく、伸びた部分との境目がはっきりしますよね。ここではヘアカラーの染毛の仕組みや、種類、使う際の注意点などについて見ていきましょう。
<目次>
ヘアカラーの染毛の仕組み
1剤と2剤に分かれているわけは?
市販されているヘアカラーは、使う直前に1剤と2剤を混ぜるのが一般的。1剤は酸化染料・アルカリ剤、2剤は酸化剤が入っており、これを混ぜたものは混合液と呼ばれます。それぞれの薬剤の働きは、次のようになっています。
薬剤 | 成分 | 働き |
---|---|---|
1剤 | 酸化染料 | 酸化発色で髪を染める |
アルカリ剤 | キューティクルを開き、混合剤を髪内部に入れる | |
2剤 | 酸化剤 | 混合により分解して、酸素を発生 髪のメラニン色素を分解し、もともとの色を脱色する |
ヘアカラーには独特の刺激臭がありますが、これは1剤のアルカリ剤がアンモニアを含んでいるからです。アンモニアは酸化剤となる過酸化水素水を分解して、酸素を発生させると同時に、キューティクルを開きます。
黒髪を明るい色に染められるのはなぜ?
混合液は、キューティクルを開いて髪の内部のメラニン色素を分解しますが、この脱色作用により、黒い髪でもより明るい色に染毛できます。髪の内部に入った染料の分子は、お互いに結合して大きな固まりとなり、出られなくなります。
ヘアカラーが永久染毛と呼ばれるのは、この仕組みによるもの。新たに染め直さない限り、髪内部の色の分子は変わりません。ヘアカラーをくり返すと、その度にキューティクルが荒らされるので、髪の傷みが激しくなります。
ヘアカラーの種類
ヘアカラーの種類は大きくは4つ
基本的に、ヘアカラーといえば先の“永久染毛”を指します。染毛の種類としては、ほかにも
- ブリーチ
- ヘアマニキュア
- カラースプレー・ヘアマスカラ
などがあります。ブリーチは完全脱色として、ホワイトや金髪などまったく異なる髪色に変えることができます。ピンクなど明るいカラーにする場合は、一度完全脱色をしてから色を入れます。
ヘアマニキュアは表面のみをコーティングするため、完全に色を変えることはできません。ニュアンスが変わり、艶やかに仕上がります。
【染毛の種類】
種類 | 脱色剤 | 永久染毛剤 | 半永久染毛剤 | 一時染毛剤 |
---|---|---|---|---|
名称 | ブリーチ | ヘアカラー ターンカラー |
ヘアマニキュアなど | カラースプレー ヘアマスカラ カラーフォームなど |
状態 | 髪色を明るくする 段階により調整が可能 |
一度で、しっかり染めることができる | 髪を傷めずに、艶やかに仕上がる | 洗髪で落とすことができる |
市販のヘアカラーの形態もいろいろある
市販されているヘアカラーにも今はいろいろな形状のものがあります。
- 液体
- ジェル状・乳液タイプ
- フォーム
- 粉
最も昔からあるのは、液体タイプで2液を混ぜ合わせた後、ハケで塗るものです。美容院のように、人手がないとムラになりやすく、市販のものではあまり見かけなくなりました。それよりも濃度が高く、液ダレしにくい形状のものが主流です。容器がそのまま塗布用クシになっているものも多く、より手軽で染めやすくなっています。
最近人気なのは、フォーム状のヘアカラー。後頭部も、手で確かめながら泡を浸透させられます。ただ、液に比べると染まりがやや弱め。そのほか、ヘナのように粉を溶いて使うタイプもあります。自然派で髪に優しいのが特徴ですが、かなり手間がかかり、染め上がりも今ひとつのようです。
ヘアカラーの選び方
白髪用と黒髪用は違うの?
通常のヘアカラーは、黒や濃い茶の髪の毛が明るい色に染まるようなカラーの配合をしています。白髪に使うと、染まらなかったり、思うような色にならず不自然に仕上がったりします。逆に黒髪に白髪用を使うと、暗く染まります。
ヘアマニキュアも同様で、黒髪に使うとニュアンス的に光の加減で色が出る程度です。白髪に使うとそのままの色が出ます。白髪をしっかりと染めたいときには、白髪専用のヘアカラーを選ぶことをおススメします。
男性用・女性用って差があるの?
ヘアカラーには男女の差はありません。色調や香りに多少違いがある程度で、成分も同じです。ただ、男性は短髪が多いので、付属するコームなども短い髪の毛に使いやすいものとなっています。色味が気に入れば、お互いに交換して使っても問題はないようです。
色味は何で決めれば良いの?
おしゃれ染めの場合、さまざまなカラーが出ていてかなり迷う人もいますよね。でも、基本的には自分の肌や目の色から選ぶと失敗しません。
【肌色によるカラーの参考】
顔の色 | 似合う色の系統 |
---|---|
普通 | ブラウン・ソフトブラウン・ダークブラウンなどのウォーム系(赤系)ブラウン |
青白い | 茶色・焦げ茶・アッシュ系などのクール系(青系)ブラウン |
黄色い | ダークブラウン・栗色・ゴールデンベージュなどのイエロー系ブラウン |
赤みがある | アッシュブラウン・ハイブラウンなど、くすんだマット系(緑系)ブラウン |
また髪質によって毛先がすぐに黄色くなったり、赤くなったりするタイプがあります。黄色が出やすい人は、やや赤みのあるトーンのカラーを選びます。赤っぽくなる人はブルー系やアッシュ系を選ぶと、時間が経っても赤みが目立ちません。
ヘアカラーを使う際の注意点
ヘアカラーをしてはいけない人
ヘアカラーは化学染料を使います。地肌や顔の皮膚に刺激を起こすので、次のような人の使用はできません。
- 小学生以下の子ども
- はれもの・傷がある場合
- 病中・病後・回復期
- 生理中
- 妊娠中
- アレルギーのある人
パッチテストは必須、喚起に注意
アレルギーの心配がない人でも、ヘアカラーを長く使っていると突然発症する場合があります。一度、反応が出ると首や顔、背中まで腫れあがる場合があるので、気をつけなければなりません。アレルギー反応を予防するためには、毎回必ずパッチテストを行います。少しでも腫れ・かゆみなどの異常がある場合は、すぐに中止してください。
また、ヘアカラーはアンモニアなど、刺激臭のある成分が含まれています。染毛する際には、必ず窓を開けたり、換気扇を回したりするなどして空気がこもらないようにします。
ヘアカラーは衣類につくと、洗濯をしても落ちません。ケープを準備し、色がついても構わない服装で行いましょう。色づき防止と保護のため、顔まわりや首筋に油性クリームを塗るのをお忘れなく。
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