一生を通して包帯にまったくお世話にならない、という人はかなり珍しいですよね。子どもの頃にお母さんや看護師さんに巻いてもらった手際の良さを、まだ覚えている人もいるのではないでしょうか。でも、いざ自分が巻くとなると、どこから始めて良いものやら。自分では上手く巻いたつもりでも、グズグズとほどけてくるのはよくあること。ここではいざというときに困らない、包帯の巻き方手順や、包帯の種類、扱い方について説明します。
<目次>
意外と知らない?正しい包帯の巻き方
血流を阻害しないことが第一
包帯を巻く際に困るのは、ゆるすぎるとずり落ち、きつ過ぎると血が通わないような状態になるということですよね。落ちてしまうのは意味がありませんが、第一に考えるのは血流を止めてしまわないこと。包帯を巻いた先の方が冷たくなっていたり、脈がとれなかったりということがないように、巻かれている人の感覚も尋ねながら行なうようにしましょう。
まずは、包帯を巻く際のポイントを確認します。
l 右手で持つ場合、包帯の巻が右、長い方が左になる
l 包帯の内側に親指を当て、他の指を外側に置く
l 端部分を三角に出して一巡目で折り返し最初を止める
l 引っ張らずに転がすように巻く
l 巻いた後に血流を確認する
部位別の包帯の巻き方を知ろう
引っ張り過ぎないなどの基本は同じですが、部位によっては少しずつずらしながら、全体を覆う方法などがあります。
基本的な部位別の巻き方は、次のようになります。
包帯を巻く部位 | 方法 | ポイント |
頭 | ・額の場合は横方向に巻く ・傷が頭頂部の場合は顎に渡して縦に巻いたあと、こめかみ付近で十字にし、横向き巻いて止める |
広い部位には三角巾を用いる場合もある。 |
腕 | 斜め上に端の部分を伸ばしておき、その上から巻く。腕の細い方から上部に向けてタケノコ状に巻いていく。ひじ側で結び目をつくる。 | 包帯の端が重なるように巻くらせん巻。 1/2~1/3ずつ重ねながら巻き上げる。 |
足 | 太さが同じくらいであれば腕と同じらせん巻で。 太さが異なる部位の場合は、少し斜めに巻いた包帯の上を折り返し、これをくり返して覆っていく。 |
折り返し巻 |
足首 | 足の甲側からかかとに向かって巻いていき途中からかかとの後ろ側に回す。そこから足首に向かって斜めに巻き上げ、最後に足首に巻いたところで結び目をつくる。 | 足首のみだと包帯がずれやすいので、かかとを覆うなイメージで巻き上げる。 |
意外と包帯の種類は多い〜傷の程度や部位別の包帯の選び方〜
こんなにあるの?包帯の種類
昔の包帯は伸縮性もなく、巻くのがかなり難しく感じられたものです。最近では包帯の素材もさまざまあり、薬局には素人でも簡単に巻くことができる包帯がそろっています。
○包帯の主な種類
包帯の種類 | 特徴 |
巻軸包帯 | 外科、整形外科、接骨院などで良く使われている。伸縮性がないため技術が必要。 |
伸縮包帯 | 伸縮性のある一般的な包帯。広く利用される。 |
弾力包帯 | ゴム糸を使わず純綿の糸で織り方のみで伸縮性を出している。捻挫、骨折の固定などに使われる。 |
弾性包帯 | ゴムやそれ以外の伸びる素材で作られたもっとも弾力性のある包帯。圧迫や固定が必要な措置に使われる。 |
粘着包帯 | 粘着剤がついていてテープに似ている。捻挫、脱臼や運動抑制のテーピングに適している。 |
自着包帯 | 包帯同士がくっついてずれにくく、関節などの従来巻きづらい箇所に適している。皮膚や衣服には付かない。 |
ネット包帯 | 筒状になったネットで誰でも簡単につかえる。包帯を巻きにくい箇所にも使えるので便利。 |
チューブ包帯 | ギプスの下などに使われる筒状の包帯。保温効果があり、傷口に優しいのが特徴。 |
家庭ではネット包帯が便利
傷の程度が大きく、しっかりと保護の必要があるときには、巻きつけるタイプの包帯で固定しなければなりません。腕や足の動きの少ない部分では、弾力性のある包帯を使うとずれにくく負担も軽減されます。
胴体のように太さがある場合は、幅広で伸縮性のある包帯でなければ対処できません。肋骨のケガなどの場合には、弾性包帯などが使われます。
誰でも簡単に利用できるネット包帯は、指用から頭までサイズがそろっています。家庭で処置できる程度のケガであれば、ほぼ対処できるので大きさをそろえておくと良いでしょう。
特に指なしの手袋のように手の甲と親指にわかれているものは、動きやすい手首までカバーできるので重宝します。ひざやひじ、足首など良く動かす部位にもフィットして、負担を感じず扱いも簡単です。
包帯って、洗って再利用するのは問題ないの?
病院でも再利用しているところは多い
大量に包帯を使用する外科などでも、よほど汚染がひどくなければ、再利用しているところは多いようです。洗浄後、滅菌処理をして乾燥させます。病院では包帯を巻く装置があるため、大量の包帯でも瞬時に処理できるようですね。
家庭で包帯を再利用する場合、包帯の端が切りっぱなしのものでなければ、ネットに入れて洗濯機で洗っても大丈夫です。ガーゼをカットしたようなタイプは、糸がほつれて使えなくなるものもあります。汚れがひどいものは、漂白剤で消毒を行なってから洗いましょう。
包帯がヨレヨレに・・・伸縮包帯は濡れたまま干す
伸縮性のあるものは、脱水すると縮んで干しにくくなり、乾いてもちりちりになったりします。洗った後、脱水せずにそのままの状態で乾かすと、比較的扱いやすくなります。干す時も、引っ張りながら成型しましょう。そのままだと乾いた後、巻きにくくなります。
乾きが完全でなかったり、保管状態が悪かったりすると、包帯が変色してしまうことがあります。薬箱などへの保管は、密閉できるビニルなどに入れておきます。
包帯はいつ必要となるかわかりません。ほこりなどがついて不潔にならないように気をつけ、緊急の際にすぐに使えるようにしておくことが大切です。
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