現在使われているほとんどのオフィスチェアは、レバーひとつで快適に操作ができます。普段はストレスなく上下させているでしょう。ガスによって調節されているせいですが、このガスは年数とともに次第に抜けてしまいます。ガス圧が下がったり抜けたりしたチェアはどうしたらよいのでしょうか。ここではガスシリンダーの交換や修理、最近問題となっているオフィスチェアのガス爆発についてみていきましょう。
<目次>
オフィスチェアの種類。ガス圧で高さを調整するオフィスチェア
今はほとんどのオフィスチェアはガスで高さを調整
オフィスチェアのタイプ別で上げられるのは、まず背もたれの高さです。一般的には次の3タイプに分けられます。
- ハイバックチェア
- ミドルバックチェア
- ローバックチェア
これらの高さについては明確な規定はされていません。その他には頭を支えるヘッドレスト付きなどもあります。
次に素材の違いがあります。
- ファブリック
- メッシュ
- レザー
- 人工皮革
などがあります。オフィスの景観やイメージ、快適さなどの大きな要因となります。
オフィスチェアの座面の高さ調節機能は、現在ではほとんどガス圧式のものが主流となっています。シリンダーと呼ばれるガスを充填した支柱が取り付けられています。ガス圧式のものは次の2種類です。
- 上下昇降型(外から簡単にシリンダーの取り外しができる・自分で組み立てる商品もあり)
- リクライニング型(背中がリクライニングになっている型。構造体に組み込まれているためシリンダーの交換はメーカー送りとなる)
その他には、回転ねじ式、手動固定型などがあります。その他、アームレストの有り無し、キャスターやロッキング機能など、足部分の構造の違いなどでもタイプが分かれます。
選ぶときは高さを簡単に調整できるものを
オフィスチェアを選ぶ際のチェックポイントとしては次の5つです。
- 作業内容に適しているか
- 業務中の快適性
- オフィスの広さとの関係
- デスクの大きさとの関係
- 価格
作業内容との関係は、背もたれの高さや、傾斜具合、高さ調節機能などが重点となります。また素材選びにより、長時間使用による蒸れに対応できるか、クッションが疲れないかなど違いがあります。主な要点について整理しておきましょう。
ローバック | 定番タイプ。基本的な機能のみで低価格 |
ハイバック | ローバックより背もたれが高いので座り心地が良い。背もたれの目安としては肩甲骨より上になるものを選ぶ。 |
ヘッドレスト付き | ハイバックにヘッドレストが付いるため、より安定感がある。仮眠など小休止がとれるため、長時間の労働に対応。 |
- 前傾姿勢・・水平面を見る作業に適している。
- 後傾姿勢・・垂直面を見る作業に適している。
椅子によって傾斜のバランスが異なります。書類のチェックや、執筆作業が多い業務、また精密作業に関わる業務は、前に傾斜しやすい前傾サポートつきが楽です。一般的なオフィスワークは、PCのディスプレイを見ることが多いため、後傾型が身体を楽に支えます。作業の途中でリラックスする際にも便利です。
高さ調節が簡単にできるものでないと、デスクが変わったり部署移動がある際に対応できません。
一般的にガスシリンダー型は、10cm程度の高低差範囲の可動域があります。力をかけずにレバー操作で自由に変更できるので、非常に使いやすい作りとなっています。
段階式の手動変更や、椅子を回転させて上下調節をする椅子に比較すると、スマートで手間がかかりません。が、中に注入されているガスが部品の破損などにより漏れ出したり、経年に従い自然と抜けることでスムーズに上下運動しなくなる場合があります。
結構大変かも。ガスシリンダーの交換方法
ガスシリンダーだけの交換は可能。ただ新規の購入を考えても
ガス圧式のオフィスチェアが下がったままでレバーを押しても上がらなくなった、という話は良く聞きます。基本的に椅子自体の破損でなければ、支柱内のガスシリンダーを交換することにより再使用が可能となります。
ガス圧式のチェアが単純な上下昇降型であれば、比較的簡単にガスシリンダーを交換することができます。この場合、シリンダーの大きさや太さがオフィスチェアのメーカーにより異なるため、確認してから取り寄せる必要があります。
ガス圧式のリクライニングチェアの場合は、内部構造の中にシリンダーが組み込まれているため、素人には困難です。メーカーに送り修理扱いとなりますが、工賃・送料負担が大きいため新規に購入した方が安く上がる可能性があります。
ガスシリンダーを購入して自分で交換を考える際の価格は、一番安いものでは、通販サイトで汎用性シリンダーが2,500円~3,000円程度です。専用シリンダーを取り寄せる場合には、その椅子自体のグレードによります。場合によっては10,000円以上するものもあります。中級クラスでは5,000円前後が多いようです。
純国産品のガスシリンダーは、最近ではほとんど手に入らないといわれています。外国製品でもあまり安価でなければ、1~2年で使えなくなるということはなさそうです。
ガスシリンダーの取り外しと取り付け方法
ガスシリンダーは支柱として固く入っているため、素手で外すことはできません。工具としては、ネジを外すパイプレンチやラバーハンマーを準備する必要があります。
ガスシリンダー交換の手順は次の通りです。
- 椅子をひっくりかえす。
- 座面下金具と座面のねじ止めを外し、分解する。
- ガスシリンダーをしっかりと持ちながら、ラバーハンマーで足(底部分)を叩く。
- 座面下金具も同様に外す。
- シリンダーを新しいものと交換する。(差し込んで軽く上から叩く)
- 座面を金具も同様につける。
- 座面を元通りにねじ止めする。
- 椅子を戻したら、座りながらレバーで上下を確認する。
椅子の作りによっては座面が外れないものもありますが、その場合はひっくり返したまま作業を行います。部品を叩くときに、金属ハンマーを使うと破損の可能性が高いので、必ずラバーやプラスチックハンマーを使うようにします。
ガスが抜けてしまって高さが調整できないときの簡単な対処方法
高さが調節できない!とりあえずの救済方法はある?
ガスシリンダーを交換するまでもないけれど、何とか高さを保てないだろうかという場合があります。ガスの機能は座面を昇降させる役割なので、手動で上下に動しても支障はありません。まず、止めたい位置まで手動で引き揚げ、ストッパーで止まるかどうか確認しましょう。ネジ式のストッパーなどがある製品ならば、きっちり締めることで下がりません。
ストッパーで止めても下がる時には、軸が汚れてすべっている場合があります。オイルなどがついていればふき取り、再度確認をしてみてください。
自分で固定することは可能!あくまで応急処置だが
とにかく低いままでは使えない、高さを固定した椅子として利用しても良いと場合にはDIY的な解決法があります。先に挙げたストッパーの役割を他のもので代用する方法です。
イメージとしては、むち打ち症になった際のコルセットをイメージしてください。支えとなるものを、座面の下から支柱に巻き付けます。ここでは安価な割り箸と布製のガムテープを利用します。
- まず固定する長さを決め、割り箸に印をつけます。
- その長さで割り箸をそろえて切ります。丈夫にするため20本ほどあれば良いでしょう。
- 割り箸の先を補強するためにガムテープで巻いておきます。
- シリンダーの周りに割り箸をぐるっと巻き付けます。(2重にすると安心です)
- ガムテープでしっかりと巻いて止めます。
座って確認しましょう。割り箸は横からの力には弱いものですが、縦方向の力に対してはかなり強いので、しばらくは座っても問題はありません。
しかし、あくまで暫定的な手段ですので時々点検するようにしてください。また早いうちに買い換えを考えたほうが良いのは間違いありません。
オフィスチェアが爆発!?ガス圧式オフィスチェアの危険
オフィスチェアの恐怖!突然お尻の下から爆発
オフィスチェアが爆発する、というショッキングなニュースが中国でありました。これまでに公にされているのは、2007年から4件ほどです。これらの事故により、死傷者が出ています。
中国の場合、流通している昇降イスは主に油圧式、機械圧式、気圧式の3種類です。一番安価なのが気圧式で、事故が起きた4件ともこの方式の椅子です。気圧式の製造過程では、一部の業者が製造コストを抑えるために高圧の空気を充填しているようです。そのためにこうした事故が発生したとみられています。
日本国内のメーカーの話によると、国内で流通しているオフィスチェアのほとんどは窒素ガスを充填しています。窒素ガス自体には、爆発の恐れはありません。シリンダーがなんらかの原因で熱を持った場合、窒素ガスが膨張する可能性はあるとのことです。その際、圧力に耐え切れなくなれば、ガスが抜けてしまいます。また、シリンダー部分にゆがみが生じた場合も、ガスが抜け出ます。
基本的には、しっかりしたメーカーから購入したオフィスチェアでは、爆発の可能性は低いようです。
オフィスチェア爆発事故にあわないための4つの注意点
爆発事故などと聞くと、どうしても怖くなります。できる限り安全策を取りたいものですが、現在一般的なオフィスチェアでは国産品はほとんどありません。よほどの特注品でない限りは純国産が難しいといわれます。
また、製造メーカーが日本であっても、特にシリンダーなどの部品については海外で製造されています。ガスシリンダーを交換する際も、その多くが海外製品であるということになります。
購入時や購入後の使用時に気をつけておきたいのは、次の通りです。
- 価格が飛びぬけて安いもの、わけあり品などの購入は避ける。
- 品質保証書の有無を確認し、できれば日本国内メーカーの管理品であるものが望ましい。
- 熱源を足元に近づけすぎない。特にシリンダー部分の温度には注意が必要。
- 使用時に違和感があったり、不具合がある場合には使用を中止し、亀裂などの有無を確認する。
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