普段何気なく使っているキッチン洗剤には、お皿を洗う洗剤、コンロ周りの油汚れを落とす洗剤、シンクの水垢に特化した洗剤など、汚れのタイプによって様々な種類が発売されています。そして、お台所の汚れで一番困るのはやっぱり「油汚れ」!油汚れをスッキリ落とすキッチン洗剤にはどのようなものがあるのでしょうか。キッチン洗剤の種類と汚れを落とす基礎知識から、置くだけでキッチンがお洒落になるキッチンソープボトルまで、紹介します。
<目次>
キッチン洗剤を使うと、油汚れはどうして落ちる?
キッチン洗剤が汚れを落とす仕組み
キッチンの汚れの代表ともいえる「油汚れ」。油汚れを落とすにはアルカリ性洗剤が効果的と言われています。なぜアルカリ性洗剤は油汚れに効くのでしょうか。それは、汚れの性質と洗剤の性質を中和=分解させる、という化学反応を利用しているからです。キッチン周りの汚れのほとんどが酸性に分類されます。この酸性の性質に、逆の性質であるアルカリ性を混ぜることで中和反応がおこり、汚れ(酸)が洗剤(アルカリ)に包み込まれ、油汚れがはがれやすくなるのです。
アルカリ性洗剤 | 油汚れ用洗剤、研磨剤、塩素系漂白剤など |
酸性の汚れ | コンロ、換気扇、油のついた食器など |
汚れの種類にあった洗剤の種類を選ぶ
洗剤の種類は「酸性」「中性」「アルカリ性」とわけられます。この分類は液性と呼ばれ、pH(ペーハー・ピーエイチ)という数値で表します。pHは0から14の数値で測られ、7が中性、それより小さければ酸性、大きければアルカリ性となります。
pH値 | 0~3 | 3~6 | 6~8 | 8~11 | 11~14 |
---|---|---|---|---|---|
液性 | 酸性 | 弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ性 | アルカリ性 |
洗剤の種類 | 水垢クリーナー、浴室用洗剤、トイレクリーナー | 肌ケア用洗剤、ボディソープ | キッチン用洗剤 | 油汚れ用洗剤、研磨剤、クレンザー、ガラスクリーナー | 油汚れ用洗剤、塩素系漂白剤 |
用途 | アルカリ性の汚れ シンク周りやお風呂などの水垢、トイレの汚れ |
食器などの軽い汚れ向き。洗浄力は弱いが肌にやさしい | 食器などの軽い汚れ向き。フッ素加工の鍋 | 酸性の汚れ キッチン周りの油汚れ、手垢など |
酸性の汚れ 換気扇やコンロなどの頑固な油汚れ、雑菌汚れ |
キッチンの油汚れは「酸性」なので、逆の性質である「アルカリ性」の洗剤が効果的と言えます。一方、シンク回りの水垢(白い粉汚れ)は「アルカリ性」の汚れなので「酸性」の洗剤が効果的です。
○汚れの種類の見分け方
・アルカリ性=「柔らかい汚れ」=手垢、油汚れなど、ヌルヌルやグニュッとした汚れ
・酸性=「硬い汚れ」=水垢(カルキ汚れ)などの、白くてカチカチ固まった汚れ
キッチン洗剤に用いられている成分は?
市販のキッチン洗剤のほとんどは合成洗剤に分類される
「家庭用品品質表示法」による分類では、洗剤は石鹸と合成洗剤に分けられます。これはその洗剤に含まれる成分により区分されています。台所用洗剤の成分のほとんどは界面活性剤です。界面活性剤とは何でしょうか。界面とは「物質の境の面」のことです。例えば、「水」と「油」といった、二つの異なる性質をもつ物質が触れ合う境目のこと。そして、この水と油のような「交じりあわない物質」の界面に働きかけ交じりあわせる作用をもつのが界面活性剤です。
つまり、交じりあわせることで、汚れを落としやすくするのです。そして界面活性剤には天然界面活性剤と合成界面活性剤に分けられます。合成界面活性剤を成分としている洗剤が合成洗剤に分類されます。
天然界面活性剤 | 合成界面活性剤 | |
---|---|---|
分類 | せっけん | 合成洗剤 |
代表的な構成物質 | ・脂肪酸ナトリウム ・脂肪酸カリウム など |
・硫酸(アルキエーテル硫酸エステルナトリウム) ・スルホン酸 など |
メリット | 界面活性剤の残留性が少ないので、肌や環境に優しい | 油汚れを落とすなど、洗浄力に優れている |
デメリット | 合成洗剤に比べると洗浄力は落ちる | 洗浄力の高い物質は肌のタンパク質も洗うので肌荒れなどを引き起こす。残留性があり、環境汚染が懸念される。 |
自然派のキッチン洗剤とはどういうもの?
「合成洗剤」や「合成界面活性剤」と聞くと、肌や体への影響の他、環境への影響も気になりますよね。では「自然」や「天然」をうたった自然派キッチン用洗剤を使用すべきでしょうか?
エコ洗剤、オーガニック洗剤など、自然派と呼ばれる洗剤の成分は天然界面活性剤である「脂肪酸」や「アミノ酸」ですが、その製造の過程で、化学加工をされ製品となります。
100%天然素材、例えば卵黄や大豆に含まれるレシチン、植物に含まれるサポニンなどは天然の界面活性剤ですが、これらの天然成分だけでは洗浄力が弱く洗剤として商品にはならないからです。しかし、天然界面活性剤は薄めると界面性を失うので、残留性が少なく、肌や自然に優しい洗剤と言えます。
しつこい汚れにおすすめなキッチン洗剤は?
汚れ落ちの評価が高いキッチン洗剤はこれ!
油汚れを代表とする台所のしつこい汚れに一番効果を発揮するのは、界面活性剤の配合率の高い大手メーカーから発売されている市販の台所用合成洗剤が有力であるとの調査結果が出ています。また、肌への配慮にポイントを置く場合も、肌マイルドを謳った、市販の台所用合成洗剤が高いポイントを得ています。意外にも、肌にやさしいイメージのエコ洗剤は肌マイルド感が得られないことがわかりました。
商品名 | タイプ | 液性 | 界面性剤(%) | 洗浄力 | 泡立ち | 泡切れ | 肌にやさしい |
---|---|---|---|---|---|---|---|
キュキュット | 除菌 | 中性 | 42% | 5 | 4 | 4 | 4 |
チャーミーマイルド | 肌マイルド | 弱酸 | 33% | 5 | 3 | 3 | 5 |
ジョイコンパクト | スタンダード | 弱ア | 33% | 5 | 5 | 2 | 2 |
ヤシノミ洗剤 | エコ | 中性 | 16% | 4 | 1 | 1 | 1 |
フロッシュ | エコ | 弱酸 | 9% | 1 | 1 | 1 | 2 |
※5段階評価 5=良い 1=悪い
※弱酸=弱酸性 弱ア=弱アルカリ性
出典サイト:エフシージー総合研究所
タイプ別、しつこい汚れに効果的なキッチン洗剤
一般家庭でキッチン用洗剤として使用する洗剤は大きく以下に分けられます。
(1) 大手メーカーから発売されている市販の台所用洗剤
(2) 通販などをメインに発売されている自然派の台所用洗剤
(3) クエン酸、重曹、セスキ炭酸ソーダなどナチュラル系洗剤
台所汚れ特有の油汚れに効果を発揮するのは、市販の合成台所用洗剤であることがわかりました。また、環境に配慮した自然派洗剤は、界面活性剤の残留性が少なく、比較的安全であることがわかりました。では、ナチュラル系洗剤と呼ばれる「クエン酸」「重曹」、そして最近話題の「セスキ炭酸ソーダ」の洗浄力や特徴はどのようなものでしょうか。
クエン酸/酢酸 | 重曹 | セスキ炭酸ソーダ | |
---|---|---|---|
成分 | レモンやお酢に多く含まれる成分 | 炭酸水素ナトリウム | 炭酸水素ナトリウム 炭酸ナトリウム |
性質 | 酸性 | 弱アルカリ性 | アルカリ性 |
洗浄効果 | アルカリ性の汚れ 水垢、石鹸カスなど水回りの汚れ |
酸性の汚れ 油汚れ、食べこぼし、手垢などキッチン周りの汚れ |
|
特徴 | ・除菌効果に優れている | ・細かい粒子で研磨剤として利用できる ・消臭効果に優れている |
・水に溶けやすく保存が効くのでスプレー液として利用できる |
注意点 | ・大理石には使えない ・塩素系洗剤と混ぜない |
・アルミ製品には使えない | ・アルミ製品には使えない ・アルカリ度が強いので肌荒れに注意 |
クエン酸はレモンや梅干しに多く含まれる成分で、サプリメントとしても利用されています。酢酸は「お酢」として知られています。どちらも酸性で水垢に強く、また「酸の力」としてトイレの汚れ(アルカリ性)に効果があります。
重曹とセスキ炭酸ソーダはアルカリ性の性質を持ち、油汚れを代表とするベタベタ汚れに適しています。これらのナチュラル系洗剤は、台所洗剤だけではなく、掃除、洗濯はもちろん、美容や健康にも利用でき、環境にも優しいことからエコロジーに関心の高い人、赤ちゃんのいる家庭などを中心に支持を受けています。
キッチン洗剤だけでなく、ボトルにもこだわるなら?
置くだけでお洒落なキッチンになる洗剤
台所用洗剤を選ぶポイントは、洗浄力があること、そして肌や環境にやさしい成分を配合しているものが選ばれますが、毎日使うものだから、気持ちを高めてくれるようなデザイン性も大切です。また、お洒落にこだわったキッチンなのに、生活感ただようキッチン洗剤ではせっかくのお洒落なキッチンもだいなしです。キッチン洗剤のお洒落にこだわるなら、やはり外国製がお勧めです。
○マジックソープ(Magic Soaps)
米国Dr.Bronner’s社の「100%植物由来のオーガニック洗剤」 カラフルでお洒落なパッケージは好みの香でチョイスできます。洗顔やボディソープとして使うナチュラル成分なので食器洗剤として愛用する人も多いようです。
○マーチソンヒューム(Murchison Hume)
オーストラリア、シドニー発のブランドです。シンプルで、美意識の高い暮らしを目指したデザインのキッチンソープは保存料や化学薬品、石油由来原料を使わない自然派洗剤です。
○フロッシュ(Frosch)
日本で一番有名な、お洒落な外国製キッチン洗剤といえば、ドイツ製エコ洗剤、フロッシュです。お馴染みのカエルのトレードマークは、「次世代にカエルが生息できる環境を残す」というメーカーの自然にこだわる理念が込められています。
詰め替えボトルを使えばどんな洗剤もお洒落に!
外国製やエコ洗剤のボトルは素敵ですが、洗浄力がいまひとつ。そしてキッチン洗剤は頻繁に使うものだから、値段も気になります。そんな悩みは「詰め替えボトル」を使うことで解消されます。中身は市販の合成洗剤を詰め替えるので、洗浄力とコストパフォーマンスがあり、中身も見た目も満足のいく結果が得られます。キッチン用洗剤の、詰め替えボトルのアイデアを紹介します。
○プラスチックボトルをリメイク
「モノトーンホワイト」という手法がSNSやお洒落な生活サイトで話題になりました。これは市販の台所用洗剤の商品名ラベルをはがして、ただの白いボトルにしてしまうという、まさに台所用洗剤の生活感を拭い去る、目からウロコのアイデアです。そして、この白いボトルに黒のマジックペンで中身の洗剤名を英文字でを書けば、あえて無造作なお洒落感を出す、斬新な手法です。
○半透明のプラスチックボトル
シンプルな形状の半透明ボトルなら、液体の残量がわかるけど、色は見えにくいので洗剤感がなく、生活感が抑えられます。リゾートホテルなどのバスルームのような雰囲気になりますね。
○雑貨系ボトル / シンプルボトル
100円ショップやホームセンターでは、シンプルな形状や色のディスペンサータイプのボトルが販売されているので、これに台所用洗剤を詰め替えるだけでも生活感を抑えることができます。また雑貨屋などで動物やキャラクターなどかわいいデザインの詰め替えボトルも多く見つけることができるので、シンプルよりもユーモアあるキッチンを目指す人にはお勧めです。
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