すべての小型化された家電やIT製品には、電池が使われています。おなじみの単一、単三から超小型のボタン電池まで、生活にはかかせないもののひとつですね。でも、電池の種類について良くわかっている人はあまりいないようです。ここでは、ニッケル水素・リチウムイオン・アルカリなどという各電池の種類や、寿命について調べていきましょう。
<目次>
ニッケル水素電池とリチウム電池の違いは?
ニッケル水素電池はニカド電池の短所を補って登場
ニッケル水素電池は、充電してくり返し使える充電池です。それまで小型掃除機など、ハイパワーを必要とする充電池として普及していた、ニッケル・カドミウム充電池(ニカド電池)に代わって登場する機会が多くなっています。ニカド電池には、有害物質のカドミウムが含まれており、環境保全の観点からも次第に利用されなくなってきています。ニカド電池と同じく正極活物質に水酸化ニッケル、電解液に水酸化カリウムを使用しています。負極活物質はカドミウムでなく水素吸蔵合金を使い、安全性が高くなっています。また、ニカド電池の倍以上の容量を保持することができ、主に電池型の充電池として広く普及しています。
リチウム電池は使い捨ての一次電池
リチウム電池は、正極に二酸化マンガン、負極に金属リチウム、電解液には、有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものを使用した高電圧の一次電池です。充電型の二次電池とは異なり、使い捨てとなります。電力容量はマンガン電池の約10倍と大きく、自然放電による電圧降下が少ないのが特徴です。また、長寿命の上、-40℃から85℃までの環境下でも使用に耐えます。形状としては、コイン型、円筒形、ペーパー型などがあり用途によって長期使用、大電力用など特性が生かされています。身近なものでは、リモコン、時計、電子メータといった各種の小型電子機器、カメラやカード型電子デバイスやカメラなどに活用されています。
ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の違いは?
携帯電話・ノートPCにかかせないリチウムイオン電池
リチウムイオン電池は、ニッケル水素電池を超えるエネルギー密度をもち、高い放電電圧を必要とするモバイル機器の駆動を担っています。500回以上の充放電に耐え、軽量化に貢献する、まさに現代生活のための電池といえるでしょう。ニカド電池やニッケル水素電池と比べても、軽量です。また、充電容量が低下するメモリー効果はほとんど見られません。その一方で、過充電や、過放電による発熱や発火の危険性が認められています。現在では、対策としてリチウムイオン電池にはさまざまな安全回路が施されています。
ニッケル水素電池は衰退してしまうの?
小型で軽量、大きな電気容量や容量の減衰がないなど、リチウムイオン電池にはニッケル水素電池を上回る特性があります。しかし、リチウムイオン電池がニッケル水素電池にとって変わるかと言うと、そうでもないようです。リチウムイオンの素材はレアメタルやカーボンナノチューブなど非常に高価なものが多く、製造コストがかかります。また、過放電、過充電による加熱・膨張、最終的には爆発する危険を抑えるための、安全回路が必須です。ニッケル水素電池は、単3・単4などの電池規格に合わせることもでき、安価な電子機器類での利用が可能です。電気自動車など大型で問題ないものであれば、コストを抑えながら必要量を合わせることができます。
ニッケル水素電池とアルカリ電池の違いは?
アルカリ電池はマンガン電池よりも強い一次電池
アルカリ電池は、充電できない使い捨ての一次電池です。水酸化カリウムという電流の流れやすいアルカリ性水溶液を電解液に使っているため、マンガン電池よりも大きな電流を取り出すことができます。マンガン電池の約2倍長く使用ができ、デジタルカメラ、CDラジカセ、ヘッドホンステレオ、モーターを使うおもちゃなどに適しています。特に高電圧を必要としない機器に向いており、日常生活でもっとも利用されているタイプです。
ニッケル水素電池とアルカリ電池の使い分けポイントは電圧
充電できる電池かどうか以外に、ニッケル水素電池とアルカリ電池の使い分けは、高電圧の必要性です。
○ニッケル水素電池とアルカリ電池の違い
電池名 | 種類 | 充電 | 高電圧 | 中電圧 | 低電圧 |
---|---|---|---|---|---|
ニッケル水素電池 | 二次電池 | 可 | ◎ | ○ | △ |
アルカリ電池 | 一次電池 | 不可 | ○ | ◎ | ◎ |
ニッケル水素電池とアルカリ電池が使用できる機器類には、互換性をもっているものが多くあります。高電圧を必要とする機器類は、デジタルカメラ・デジタルビデオなどのデジタル機器が代表的です。常時 1.0 ~ 1.05 Vの電圧を必要とし、下回ると機能が停止します。中電圧帯には、デジタルオーディオやCD・MDプレーヤーなどがあり、コストパフォーマンスの面ではアルカリ電池が適しています。時計やリモコンなどの低電圧ですむ機器類には、ニッケル水素電池は不向きです。マンガン電池でも間に合いますが、アルカリ電池は長期間使うことができます。
ニッケル水素電池の寿命ってどれくらい?
使い方次第では短命に終わる!?
JISの規格上ではニッケル水素充電池は、数100回から数1000回の充放電をくり返して使用可能とされています。これはあくまで良好な条件下での状態と考えてよいでしょう。実際には、意外と短命でコストパフォーマンスに疑問の声を上げるユーザーも多いようです。充電の仕方や使い方を間違えると、簡単に寿命が短かくなるため、なかなか難しい電池といわれています。特に、長期間放置すると、確実に使えなくなります。これは内部での化学反応が起こりにくくなる現象で、不活性化と呼ばれるものです。数年使用しないでおくと、充電をいくらしてもなかなか復活しません。特に急速充電器を使っていると、反応が見られないとケースがあります。
ニッケル水素電池を長持ちさせるために
ニッケル水素電池がダメージを受ける大きな要素は次の2つです。
- 過放電放置:完全に使い切った状態で充電せず長期放置すること。内部の電極に問題が生じ、短寿命となる。
- 高温状態:ニッケル水素電池は温度変化に弱い。高温状態で使用することで、膨張し内部圧力かかり液漏れを起こす。
上記のような使い方を避けると共に、長持ちをさせるために気をつけるポイントは次の通りです。
- 電池を多種の機器類で使い回ししない
- 電池を同一コンディションに置く
- 充電をこまめに行う
- 電極をこまめにふく
電池を使い回しすると、劣化度合いにバラつきが発生しやすくなります。過放電になりやすく、寿命を短くする原因となります。電池をできるだけ同一のコンディションに置くことで、各電池への負荷が軽減されます。購入の際は同品番で同時購入し、その後も充放電を同一条件で行うようにします。充電はできるだけこまめにすることで、過放電を防ぎます。また、電極が汚れていると充電不良の原因となり、使用時間にバラつきが発生します。
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。