にわかに「万年筆を使ってみたい」という人が増えてきた近年。しかしながら、奥の深い万年筆の世界は、少々敷居が高い、と感じている人も多いことでしょう。
この記事では、そんな万年筆初心者の方向けに、万年筆の魅力はもとより、ボールペン・デスクペン・つけペンといった他の筆記具との違いについて、ご紹介していきます。
<目次>
万年筆とボールペン、何が違う?
万年筆について
「万年筆」というと、昭和期を扱ったドラマなどで見られる、ボトルインクにペン先を浸しながら書く、といったイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、そうしたもの(つけペン)も未だ存在していますが、長い歴史の中で筆記具は大きな進化を遂げています。
万年筆においては、カートリッジ式やコンバータ吸入式、近年ではノック式のものまで。
インクも色とりどり、万年筆のデザインもスタイリッシュなものが続々と出ています。
また、高級品というイメージの万年筆にも低価格帯のものが出るなど、万年筆デビューの敷居がグンと下がった感がありますね。
万年筆の魅力といえば
- 書き味の良さ
- 字がキレイに見える
- あたたかみを感じる
- 筆圧が強くなくても書けるため、疲れにくい
- 存在感、高級感
- ファッション性
など。
中でも特に、「使っているうちに手になじみ、愛着がわくのがいい」という声が多いようです。
万年筆とボールペンの違い
一方、万年筆の時代を一挙に塗り替えたとされる「ボールペン」は、ご存知のとおり、実用的で優れた筆記具です。
ボールペンも登場からかなりの年数がたち、水性インク・ゲルインクから低粘度油性、消せるボールペンなど、様々に進化しています。
万年筆との違いと言えば、やはりその書き味ではないでしょうか。ボールペンにおいても、書き味のなめらかさを追求されてきた感はありますが、万年筆のペン先は使ううちに紙との摩擦でなめらかになり、持ち主に一番書きやすい1本になるといいます。
また、万年筆のインクは、ボールペンのインクに比べて長期保存に向いている、というのも大きな違いでしょう。
万年筆とデスクペン、何が違う?
ペン習字などでよく使われている「デスクペン」も、万年筆の一種です。
一般的に、ポケットに差すなどして携帯できるものを万年筆、デスクで使用することを前提にしたものをデスクペン、として区別しています。
デスクペンは、通常万年筆についているクリップがついておらず、装飾もないシンプルなもの。万年筆に比べてサイズが大きく、ペン先はステンレス製のものがほとんどです。
また、書き味の良さを重視する万年筆では、インクフロー(インクの出)が良く、線質が微妙にぼやけるという特徴をもっています。
そのため、ペン習字や履歴書の記入、といった用途には、シャープな線質のデスクペンが好まれる傾向にあるのだとか。
デスクペンは、特に細字のラインナップが充実しており、価格も1000〜5000円ほどであることから、隠れた人気となっているようですよ。
万年筆とつけペン、何が違う?
つけペンとは
元来「ペン」と言えば「つけペン」のことを指していたと言います。
つけペンはボトルインクにペン先を浸しながら書くもので、昭和40年代までは一般の筆記用として広く使われていました。
ペン先に頻繁にインクをつける煩わしさから、現代ではあまり見られなくなりましたが、ペン画やペン習字、カリグラフィー、マンガのペン入れといった用途では今なお活躍しています。
万年筆とつけペンの違い
万年筆とつけペンの違いは、やはりインクが内蔵されている・いない、という点。また、つけペンは、ペン先と軸とに分かれているのも特徴的です。
ペン先の種類も
- 丸ペン
- Gペン
- スクールペン
- カブラペン(スプーンペン、たまペン、さじペン)
- 日本字ペン
などがあり、それぞれの特性や好みに応じて、使い分けることができるのがメリット。太い線と細い線を使い分けることの多い、イラストやマンガに重宝されているのも頷けますね。
さらに、
- つけるインクの量によって、雰囲気が変わる
- インクの色を簡単に変えることができる
という点も、つけペンの魅力です。
万年筆とGペン、何が違う?
Gペンとは
「Gペン」とは先にご紹介した、つけペンのペン先のひとつです。
もともとは、英字を筆記する際に用いられていましたが、弾力があり柔らかいため強弱のある線が書けるとしてメジャーな存在に。
丸ペンと並んで、マンガのペン入れに用いられることが多いペン先です。
万年筆とGペンの違い
万年筆とGペンの違いについては、つけペンと同様です。
万年筆は、文字を書く用途に適しているもの。Gペンは、強弱のある太めの線が描けるため、イラストやマンガを描く用途に適しているものです。
また、つけペンのペン先すべてに言えることですが、万年筆と異なるのは、消耗品であるという点。万年筆がペン先を自分だけの1本に育てていくのとは真逆で、使い捨てることが前提となっているところが大きく違っていますね。
万年筆とガラスペン、何が違う?
ガラスペンとは
近年、注目されるようになった「ガラスペン」も、つけペンの一種です。
ペン先がガラスでできているので、非常にデリケートなのが特徴的。扱いに気をつけないと欠けてしまうこともあります。
一番の魅力は、高いデザイン性。透明感があり美しく、装飾もバラエティに富んでいます。まさに「趣味の道具」と言えるのが、ガラスペンでしょう。
ガラスペンならではの特徴は、ペン先に溝がありインクをためる構造になっている点です。このため、つけペンより多くの文字(およそ300〜400字)を書けるのがメリットですね。
万年筆とガラスペンの違い
万年筆とガラスペンは、パッと見てお分かりの通り、ペン先の形が大きく違います。
ガラスペンは引っかかりのない形状から、あらゆる方向にペン先を走らせることができるのも特徴的。
また、つけペン同様に
- つけるインクの量によって、雰囲気が変わる
- インクの色を簡単に変えることができる
のも大きな魅力となっています。
ガラスペンは、すべて職人による手作りのため、1本1本それぞれに書き味が違うというのも覚えておきたいところ。購入する場合には試し書きすることをぜひおすすめします。
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