若年層向けの安価な商品の発売以来、人気が再燃 している万年筆。他の筆記具と比較してメリットはあるのでしょうか。また万年筆はインクの供給方式で種類があります。直接ボトルからインクを入れる吸入式、コンバーターを装着して使う方式などそれぞれのメリット・デメリットとは何でしょうか。ここでは万年筆全般と、各方式の違いによる特徴を見ていきます。
<目次>
万年筆のメリットとデメリットを理解しよう
筆圧・書き味が万年筆の最大の特徴
万年筆のメリットとして考えられるのは次のような点です。
- 筆圧をかけないため疲れにくい
- 文字が美しくみえる
- 現代の筆記具としては最上位
- 使用する人間の癖に従い馴染んでくる
- コストパフォーマンスが良い
- メンテナンスや修理・交換によって半永久的に使える
万年筆の特徴として挙げられるのは、筆圧がほとんど必要ないその書き味です。紙の上を滑らせるだけで、文字が書き込まれるため、他の筆記用具と比較して疲れません。また、ハネ・ハライといった文字のパーツにも濃淡が生まれ、文字がうまく見えると言われています。筆を除く現代型の筆記具として、最高位にあるのが万年筆。持っている人特有の味が出てくることもあり、愛着が湧きます。また、良い万年筆はファッション性も高く、周囲に好印象を与えます。
不用意な取扱いに弱いデリケートな筆記具
万年筆の筆記具としてのデメリットは、次のようなものが考えられます。
- 乾燥や、気温差、飛行時の気圧変化などに弱い
- 筆記する紙質を選ぶ
- メンテナンスが必要
- 一般的に高価格
- カーボンコピーに向かない
汎用性が高く、使いやすいボールペンにとって変わられた経緯は、万年筆のデリケートさにあります。粘性の低い液体インクを中に仕込む構造上、乱暴な扱いによって不具合が起こります。ペン先の乾燥に弱く、いざという時にインクが出ないという場面もあります。ペン先の特徴から、使用者の癖がつくため貸し借りができません。また、ボールペンにはないメンテナンスの手間がかかります。繊維が荒い紙では、引っかかりが生じ、文字がにじみます。また、筆圧をかけられないため、複写式の請求書や領収書などには使用できません。
【万年筆のタイプ別】吸入式のメリット・デメリット
吸入式のインクタンクは容量が多い
吸入式の万年筆には正統派というイメージがあります。最高級品では、いまだ吸入式のみの万年筆しか製造していないメーカーもあるほど。吸入式万年筆のメリットでは、次の様なものが挙げられます。
- 一度に入るインクの量が多い
- 好みの色のインクを入れられる
- 水洗いが楽にできる
- インクの通りが良くなる
吸入式万年筆のインクタンクは1.5~1.9mlほどの容量が一般的です。コンバーターやカートリッジは0.5mlから多くても1ml。一回に入れられる量が多いので、インク切れになるまでの使用時間が長くなります。吸入式の万年筆は内部の水洗いが簡単なので、インクの色を変えて楽しむのに向いています。インクをペン先から吸い上げる過程で、ペン芯とペン先の通りが良くなるというメリットもあります。
インクを吸入する手間を楽しめる人向き
万年筆らしさを感じる吸入式ですが、使う上でのデメリットもあります。
- インクの吸入が面倒
- 吸入時に汚れやすい
- 持ち運びに向かない
一般的にカートリッジが普及している理由には、吸入式のインク入れに手間がかかるということがあげられます。出先でどこでもできる作業ではないため、インクが無くなってしまうと簡単には入れられません。吸入するためには、汚れが飛び散らないように注意する必要があります。差し込めばそれで済むカートリッジのように、予備のインクを持ち歩くのは容易ではありません。
【万年筆のタイプ別】カートリッジ式のメリット・デメリット
両用できることで便利さが増す
ビジネスや外出時では、カートリッジ式を使う人が圧倒的に多いでしょう。カートリッジ式万年筆のメリットには次のようなものがあります。
- カートリッジ・コンバーターの両用型が多い
- どこでも手軽に使える
- インク切れでも慌てない
- インク交換・補充に手間取らない
カートリッジ式は、ほとんどの場合コンバーターと差し替えができるようになっています。最初についていなくても、別売りでコンバーターを購入できます。多様な色のボトルインクを簡単に楽しむことができます。カートリッジは、どこの文具店でもすぐに手に入ります。外出先でインク切れになっても、購入してその場で差し替えができます。例え会議中であっても、カートリッジならば素早く交換が可能です。
最大のデメリットはコストパフォーマンスの悪さ
カートリッジの最大のデメリットは、ランニングコストがかかるということでしょう。一般的なカートリッジインクは1本あたり0.5mlで40円程度です。同じメーカーのボトルインクは、0.5mlで計算すると、6.3円となりました。いかにカートリッジが割高であるかが良くわかります。色彩を楽しむ高級インクには、カートリッジがありませんので比較できません。カートリッジの容器と、製造コストを考えればおそらくかなり高額になると思われます。色に関しても、カートリッジでブラウンが追加されたことが話題となる程度です。カートリッジ型の万年筆でカラーを楽しむ方法としては、空になったカートリッジを良く洗い、スポイトでインクを入れるという裏ワザもあります。
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