砂糖の“カロリーが高い、太る”といったイメージを受け、人工甘味料を使った食品が多くなってきています。中には砂糖以上に甘く感じられる成分もあるようですが、安全性には問題ないのでしょうか。砂糖と甘味料には、どのような違いがあるのでしょう。また、糖尿病など砂糖が取れない人に対しても、利用できるのか気になりますよね。人工甘味料のいろいろな種類や、砂糖との比較についてみていきましょう。
<目次>
砂糖と(人工)甘味料は何が違う?
砂糖は天然甘味料?
甘味料とは、甘味を付ける調味料のこと。そのカテゴリでいうと、砂糖も甘味料です。甘味料には大きく分けて、天然甘味料と人工甘味料があります。
砂糖・ハチミツ・麹・麦芽糖などの天然甘味料が自然素材そのものの甘味を利用したり、酵素によって甘味を発生させたりするのに対し、人工甘味料は天然には存在しない甘味を合成して作り出します。
砂糖の原料は次の2つです。
l サトウキビ
l てん菜
植物は、光合成から糖分を作り出して栄養とします。サトウキビやてん菜は、糖分を砂糖の原料となる「ショ糖」として蓄えるため、砂糖の加工に最適な植物となのです。
人工甘味料は後味が長持ちする
味覚センサーで調べると、口に含んだとたんに甘さを感じる砂糖に比べ、人工甘味料はじわじわと甘味が立ち上がります。例えば人工甘味料入りのコーラの場合、コーラの刺激が先に、甘味は後から感じます。また、砂糖は甘味の抜けるのが早いため、後味はすっきりしていますが、人工甘味料は口に甘さが残るといった違いがあります。
一番の違いは、甘味の強度。よく耳にするアスパルテームの甘さは砂糖の100~200倍、スクラロースという甘味料の甘さはなんと砂糖の600倍以上です。しかも、カロリーはいずれもゼロ。ダイエット中にどうしてもスイーツが食べたくなる人にとっては、まさに救いの神ともいえるのが、人工甘味料のようですね。
(人工)甘味料にはどのような種類がある?
代表的な人工甘味料の種類と特徴
今ではさまざまな食品に使われている人工甘味料。一般的に良く利用されているものを見てみましょう。
○主な人工甘味料の種類と特徴
名称 | 甘さ(砂糖基準) | 特徴 |
スクラロース | ×600 | 米国食品医薬品局(FDA)・世界保健機構(WHO)から安全性を認可されている |
アセスルファムカリウム | ×200 | 甘さが残りにくい カロリーゼロ |
エリスリトール | 75~85% | 糖アルコールから合成 自然由来 カロリーゼロ |
サッカリン | ×700 | 水に溶けないので食品利用が多い 一時発がん性が疑われたが現在は解除 |
アスパルテーム | ×200 | アミノ酸由来 |
キシリトール | ×1 | 糖アルコール由来 冷涼感があるのでガムに使われる |
人工甘味料にも天然由来のものがある?
人工甘味料の中には、エリスリトール、トレハロース、キシリトールのように天然由来で抽出されたものがあります。一方、天然甘味料にも砂糖やハチミツ、麦芽糖のように元来の甘味をそのまま使うものと、発酵などの手間を経て甘味となるものがあります。人工甘味料は自然のままには存在しない甘さであることが定義とされていますが、まったくの化合物だけでなく、食品の変化の過程で発生する甘味も含まれるということ。今後も、研究が進むにつれて、もっと別な甘味料の素が発見するかもしれませんね。
砂糖と(人工)甘味料の健康への影響
人工甘味料は1日当たりの摂取量が限定される?
人工甘味料の中にもトレハロースのように、摂取量に特に規定がないものもあります。しかし、多くの人工甘味料は、1日当たりの摂取許容量が定められています。主な人工甘味料の摂取限定量と、身体への影響は次のようになっています。
○人工甘味料の量と健康への影響
名称 | 1日の許容量 (体重1kgあたり) |
摂りすぎにより懸念される症状 |
スクラロース | 5mg | 白血病 白内障 甲状腺機能低下 |
アセスルファムカリウム | 5mg | うつ病 頭痛 腎疾患 がん |
エリスリトール | 66~80,mg | おなかがゆるくなる |
サッカリン | 5mg | 不妊 胃酸過多 おなかがゆるくなる |
アスパルテーム | 40mg | アレルギー 心疾患 不眠症 認知症 |
キシリトール | 30mg | おなかがゆるくなる |
砂糖の摂り過ぎによる影響は?
完全な自然食品の砂糖であっても、食べ過ぎによる身体への影響があることは当然ですよね。WHO(世界保健機関)による糖類の摂取量としては、「1日の総カロリーの5%未満」が健康量とされています。これは砂糖に換算すると25g程度。摂り過ぎた糖分はエネルギー消費されずに、脂肪に変わることはよく知られています。でもそれだけではありません。
砂糖の取り過ぎにより引き起こされる症状としては、次のようなものが挙げられます。
・肥満
・老化
・高血糖⇒糖尿病
最近の研究によれば、砂糖の摂り過ぎは老化を促すといわれています。砂糖を摂り過ぎると、血液中のブドウ糖があふれ出し、タンパク質と結びつく「糖化」が起こります。この糖化によって、血液がドロドロになると血流が悪くなり、体内の循環が滞ります。また、強力な毒性のある物質が発生して、細胞を傷つけます。慢性化すると免疫力が低下し、歯周病、感染症などが起こりやすくなります。また、がんや認知症の原因になるともいわれています。
糖質は、脳のエネルギーとなる必要不可欠なものです。が、炭水化物を食べるとそこからも糖分が摂取されるため、オーバーになりがち。甘いものはたまの楽しみとして、砂糖の摂り過ぎには十分気をつけたほうがよさそうですね。
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