世の中に溢れているサプリメントの広告。すべてを鵜呑みにしていたら、とんでもないことになりそうですが、果たして何らかの効果は期待できるのでしょうか。アメリカでは、医学誌に掲載されたサプリメントの効果への否定的な論文が話題となりました。日本の厚労省も、サプリメントの誇大広告について注意を呼びかけています。とはいっても、「すべてのサプリメントについてまったく効果なし」というのも乱暴な話のようです。ここでは、効果的なサプリメントの用法について考えていきましょう。
<目次>
サプリメントには効果があるの?
広告を信じるのは危険?実証されていない効果もある
最も問題視されているのは、確かな検証データなしで、身体の問題が解決できるように謳っている誇大広告。サプリメントを飲むことで○キロやせる、内臓疾患が回復する、などは市販されているどんなサプリメントでも実証されていません。
話題となったアメリカの医学誌の記事では「心臓血管疾患やガン、認知症や言語記憶、心筋梗塞などの疾患に対し、ビタミンやミネラルなどのサプリメントに効果はない」とバッサリと切り捨てられています。肥満大国であるアメリカにおいては、乱れた食生活をサプリメントで補おうとする人で溢れています。「悪い食生活をなかったことにするようなサプリメント効果はあり得ない」と医師たちは語っているのです。
サプリメントは身体本来の機能を超えない
サプリメントは薬ではありません。本来身体が持っており、一時的に失われている機能を回復する力を「サポートする」ためのものです。直接的に原因に働きかけて排除したり、治療したりということはできません。ダイエット効果を広告するサプリメントであっても、身体自体が体重を正しく維持する力を持っていなければ、その力を超えた効果を発揮することはありません。一時的に水分量が落ちて体重が減ったとしても、適度な筋肉がついた美しい体型になることなど到底あり得ないのです。
疲労回復に効くサプリメントがあるけど……
疲労感の原因によって効果に差が出る
人間が疲労を感じる原因にはさまざまものがあります。例えば、寝不足によるものや、休みが取れない日々が続くなどは外的な要因ですよね。そのほかにはうつ病などの心因性のもの、内臓疾患によるものなどが考えられます。
サプリメントで回復できる疲労は、栄養不足により機能が低下している場合です。身体のなかでどれかの栄養素が足りなくなっている場合に、それが補われることで改善されます。
糖尿病などは重い疲労感を引き起こす病気ですが、そこでいくら元気が出るサプリメントを飲んでも根本の治療にはなりません。疲労の原因が栄養素の不足であれば、サプリメントの効果は期待できますが、疲労原因がほかにあれば効き目はありません。
栄養の不足を補うサプリメント
栄養不足が原因である場合には、次のようなサプリメントで疲労回復が期待されます。
○疲労回復に効果のあるサプリメントの一覧
サプリメント名 | 効能 | 改善される例 |
ビタミンB | ・エネルギーの合成 ・ストレス抵抗性を向上 ・認知機能改善 ・血流改善 |
エネルギー不足 貧血 認知力低下 うつ・ストレス |
ビタミンC | ・副腎の働きを促進する ・栄養素の吸収力アップ ・活性酸素の除去 |
エネルギー不足 貧血 うつ・ストレス 肌荒れ |
鉄分 | ・貧血による疲労改善 | 貧血 |
カルニチン | ・精神疲労 ・認知力向上 |
エネルギー不足 認知力低下 うつ・ストレス |
アスパラギン酸 | ・エネルギー変換を高める ・毒素の排出 ・肝機能の保護 ・ストレス抵抗性のアップ |
エネルギー不足 老廃物の排出 うつ・ストレス |
タウリン | ・肝臓修復 機能強化 ・記憶力向上 ・不安感の除去 ・脳のリラックス効果 |
認知力低下 うつ・ストレス |
アリシン | ・ビタミンB1機能強化 ・栄養素の吸収力アップ ・末梢神経拡張 ・血中コレステロール低下 |
エネルギー不足 抗酸化作用 貧血 |
オルニチン | ・運動による疲労回復 ・肝臓の機能強化 ・アンモニアの無毒化 ・成長ホルモン誘導体 |
エネルギー不足 毒素排出 |
ひざの関節に効くサプリメントがあるけど……
症状によってはある程度の影響がある可能性も?
ひざの関節は、さまざまな要因で痛みを伴う箇所です。運動などで損傷する場合もありますが、最も多いのが加齢によるもの。正常なひざの関節は、表面が軟骨でおおわれ、クッションのような役割を果たしています。年齢とともにこの軟骨がすり減ると、動きがスムーズでなくなり、痛みを感じるようになります。
市販されているひざ関節用のサプリメントは、この軟骨成分を補うものが大半です。しかし、口からの服用では効果なしと言われる成分もあります。服用者からの好意的な声がある一方で、科学的な裏付けがいまだ不明の製品も多いようです。
ひざの関節用のサプリメントには何があるの?
ひざの関節の働きをよくすると言われるプリメントには、次のようなものがあります。
○ひざの関節のためのサプリメント一覧
サプリメント名 | 内容 | 効果 |
グルコサミン | ・カニやエビなど甲殻類から精製 | 初期や中期の変形性膝関節症には痛みをやわらげる効果がある 糖尿病は服用不可 |
コンドロイチン | ・ひざ関節内の軟骨・半月板・関節液に含まれる成分 | 軽度の症状の痛みをやわらげる |
コラーゲン | 皮膚・軟骨・腱に含まれるタンパク質 | サプリメント摂取の有効性は確認されていない |
ヒアルロン酸 | 軟骨・関節液成分 | 飲むものは体内で分解されるため効果は薄い |
オメガ3脂肪酸 | 体内でつくりだせない成分 | 科学的根拠で認められている 関節痛・リウマチ症状に効果あり |
美容・美肌に効くサプリメントがあるけど……
肌への即効性に期待ができる美肌サプリメント
体調全体に関わるものや、痛み軽減などのサプリメントと比較すると、効果が得られやすいといわれるのが美容サプリメントです。とはいえ、自分の身体に必要のないものを大量に摂取しても、効果がないどころか逆に状態を悪くするきっかけとなりかねません。
先にも挙げたように、サプリメントは身体で不足している栄養分を補うものです。最もわかりやすいのは、自分が嫌いで食べないものを考えること。
例えば、甘いものが好きで野菜や肉類をあまり食べない人は、ビタミンBを始めとする栄養素が不足しがちです。肌荒れの原因がビタミンの不足であれば、サプリメントは有効に働くでしょう。果物をよく食べている人が、ビタミンCのサプリメントを摂取しても、過剰となり役立っていないということもあります。肌によい成分だからといって何も考えずに摂取し続けると、内臓に負担をかけてしまうこともあるのです。
美肌効果のあるサプリメントって何?
美肌効果のあるサプリメントを試したいときには、症状にあった成分を選ぶ必要があります。お悩み別のサプリメントを見てみましょう。
○美肌効果のあるサプリメント一覧
症状 | サプリメント名 | 効果 |
大人ニキビ | ビタミンB1、B2、 ビタミンC ビタミンA レチノイン酸 コンドロイチン グルコサミン ギャバ アルギニン カルシウム |
炎症の抑制 皮脂腺の非活性化 抗酸化作用 ターンオーバーの正常化 皮膚の強化 皮膚細胞の生成 皮膚の強化 皮膚細胞の生成 皮膚の強化 皮膚細胞の生成 皮膚の強化 皮膚細胞の生成 表皮のバリア機能強化 ストレスの軽減 |
乾燥肌 | ビタミンC コラーゲン ヒアルロン酸 イソフラボン ヨクイニン アミノ酸 グリチルリチン |
抗酸化作用 ターンオーバーの改善 皮膚の生成 保湿力アップ 女性ホルモンの強化 ハリのアップ 肌の生成 保湿力アップ |
皮脂の抑制 | ビタミンB ビタミンC アルコルピン酸 |
皮脂分泌の抑制 毛穴ひきしめ ビタミンCの強力版 |
敏感肌 | αリポ酸 ビタミンC DHA EPA ミネラル |
免疫力のアップ 免疫力のアップ 血液の正常化による肌組織の強化 体内バランスの正常化 |
血流改善 | αリポ酸 ビタミンC DNA RNA |
血液浄化作用 抗酸化作用・血管壁強化 血流改善 デトックス効果 |
しわ・たるみ | アミノ酸 ビタミンB ヒアルロン酸 コンドロイチン グルコサミン |
繊維組織・肌細胞の生成 ハリの改善 弾力性アップ 肌細胞の活性化 真皮細胞の生成 |
どのサプリメントが自分に合うのかは、試してみなければわからない部分が多いものです。サプリメントは薬ではないため、効果を実感するのには時間がかかります。まずは自分の身体の状態を十分に観察してから、サプリメントを選ぶのがよさそうです。
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。